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第10話

こくり、と首を縦に動かし啓太の言葉に素直に頷く。俺だって知らなかった。自分の中に弟とこんなことして興奮するもう一人の自分がいたなんて。 触るよ、かなちゃん? あ……や……やっ…… 大きな手が俺の熱を握り込んで、ゆっくりとスライドし始めた。同時に啓太は片手を床に付いて俺に伸し掛かるような体制で耳元へ口を寄せる。 嫌なの?やめて欲しい? 今更どうしてそんなこと。やめて欲しいだなんてとんでもない。もっと触って欲しいのに。 俺は首を横に振る。 やだ、やめないで、啓太……。 かなちゃん、素直だね。可愛い。 そう囁かれた瞬間、啓太の手の中で熱が爆ぜた。 「んっ……んっ……」 びくびくと腰を揺らして絶頂を味わった直後、じんわりと濡れた感触に目が覚めた。 あ……。濡れてる。 恐る恐る股間に手を当てて確認した。湿ってる。 嘘……やっちゃった?呆然自失の面持ちでベッドから上半身だけを起こし、スウェットのウエストを引っ張って中を確認した。くんっと吸い込んだ匂いは紛れもなく精液の青い匂い。 どうしよう。今何時?あ、やばい。6時半。啓太が起こしに来る時間だ。どうしよう!? 啓太が階段を上がってくる音が聞こえる。半ばパニックに陥っていた俺は手元にある毛布をかき集めて股間を隠すように抱きかかえた。 まさか、まさか、この後あんなことになるなんて。 啓太、ごめん。

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