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第14話

その後もストレッチは続き、ストレッチが終わると生徒達はハードルを並べ始めた。ハードル走をするようだ。 俺の視線は黒板と窓の外を行ったり来たり。 かなちゃんが走るところを見たい。 だからちらちらと確認する。 運動も俺とかなちゃんとでは能力に差があって、俺は割と何でも器用にこなし脚も速い方だが、かなちゃんは並以下だった。 だからこうしてかなちゃんが走る姿を窓から覗いている時は勿論応援するが、だがその応援の半分は、転びませんように、ケガをしませんようにという祈念を込めたものだった。 カツカツとチョークが黒板を叩く音を聞きながら、まだかまだかとかなちゃんの順番を待つ。 ちらりと次に確認した時は神崎先輩が走っていて、群を抜いた速い走りを見せていた。 ふうん、俺といい勝負じゃねーの、と内心毒づく。 というか、別に張り合うつもりなんて毛頭ない。はず……。 俺は何してんだと軽く頭を横に振り黒板に向き合う。 また再び外を見るとかなちゃんが手足をぷらぷらさせて走る準備をしていた。 お、次か!かなちゃん頑張れ! 持っていたシャープペンに力が籠る。 4人横並びになりクラウチングスタートの構えをとり、ピッという笛の音を合図にスタートした。 かなちゃんは意外にも良いスタートを切った。だけど。 みんな三歩目でハードルを飛び越えるのにかなちゃんは四歩目でやっと飛んでいる。 身長の差が仇となり、みるみるうちに周りの生徒に追い越され、そして最後のハードルに足を引っ掛け転んでしまった。 かなちゃん─!! 「……くそっ」 思わずガタンと音を立てて椅子から立ち上がる。 するとクラス中の視線がこちらへ向いていた。 教師にまたお前かという顔をされた。 「あ、その……腹痛いんで保健室行ってきてもいいですか」 そっちの“くそ”ではないけれど、口にしてしまった以上誤解を招いても仕方ない。 くっそ、恥ずかしい! だけど今はかなちゃんが一大事だ。 もう俺のあだ名が明日からウンコになっても構わない……!

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