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第16話
「かなちゃん、歩けないの?」
見るとかなちゃんの膝は擦り傷だらけで血が滲み痛そうだ。
この傷を見たら俺だってかなちゃんを抱っこしてるだろう。
「あ、いや、歩ける!大丈夫だよ!っていうか神崎、下ろして。流石にこれは恥ずかしいよ」
かなちゃんに抗議され、神崎先輩は「そう?」と言いながらそっと床へかなちゃんを着地させる。
保健医は不在。
このままでは神崎先輩がかなちゃんの傷の手当てをする流れ。
なんか知らんが、確実にそれは許しちゃダメだろう……!!
「あとは!俺が、かなちゃんの怪我を手当てするので!神崎先輩はどうぞ授業にお戻りください!」
「は?」
神崎先輩の、何だお前?という表情。
わかるよわかるよわかります。
かなちゃんの手当てしながら、イチャイチャしようとしてんだろ。わかっとるわ!そんなもん!
だからここは絶対に引けない……!
「いや俺保健委員なんです実は。自分も腹痛だけど薬の場所知ってるし。なのでかなちゃんの傷も俺が消毒しときます!」
一息でそう言うと、神崎先輩は不機嫌そうに眉を潜めた。
「神崎。ここまでありがとう。あとは啓太にしてもらうから、神崎は授業戻って」
かなちゃんは「ありがとうな」と言いながら神崎先輩へ手を合わせる。
神崎先輩は肩を竦めて見せた。
「わかった。先行ってるな」
神崎先輩が見えなくなるまで見送って、邪魔者はいないと確認し、扉を閉める。
かなちゃんの膝はもちろん痛そうで可哀想なんだけど、それよりもこの保健室で二人きりというシチュエーションが何だかエロい。
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