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第28話

登校時、早速かなちゃんとの距離をもっと詰めてみようと思考を巡らせる。 だが、学校には神崎先輩という、俺の対抗馬的存在の人がいて、学年も違うし学校での一日を過ごす場所さえ俺だけ一緒になることが無いに等しい。 じゃあ、どうしたらかなちゃんとの時間をもっと沢山共有出来るんだ? ああ!そうだ!昼休み、一緒に食事すればいいんじゃねーか? そう考えた俺は、朝のバス停にて神崎先輩の目の前で先手を打った。 「あのさぁ、神崎先輩と話してるとこ悪いんだけど……かなちゃん」 しょんぼりとした口調で、背中を丸くする。きっとかなちゃんは俺を気にかけている今、断らない筈だ。 「ん?」 声を発したのは神崎先輩だ。だが断る!神崎先輩、あんたじゃねえ! 続いてかなちゃんがこっちを向いた。 「どうした、啓太」 「実はちょっとやなことがあって……昼飯友達と一緒に食いたくないんだよね。……かなちゃん一緒に昼飯食わない?」 「……啓太」 「ふーん。まぁいいんじゃないの?何か困ってるみたいだし、俺は別にいいぜ」 と神崎先輩が言った。 ……しまった!! 頭の中では俺対かなちゃん。二人きりの構図だったのが、そこへ神崎先輩までもが加わる形になろうとしている。想定外だ……。 どうする、……どうする俺!! ない頭をフル回転させるが、名案は思い浮かばず、そうこうしているうちにバスが到着し、結局俺とかなちゃん、神崎先輩の3人で昼食をとる流れになってしまった。 「じゃあ啓太が3年の教室にくると目立って嫌だろうから、俺が呼びに行くよ。それからどこかあまり人のいない場所で食べよう。な?」 学校へ着くとかなちゃんは、可愛らしく首をちょんと傾げて「な?」と言って、3年の下足置き場へ向かっていった。 か、か、可愛いーーー!!! くっそ、くっそ、くっそ可愛い!! しかし……。神崎先輩はマジでいらない。 かなちゃんと、にっくき神崎先輩の背中を後ろから眺めて、俺は大きため息を吐いた。

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