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第30話
「でもなんでこんな場所知ってるの?」
「何度か神崎とここでお昼食べたことがあったから」
「へぇ……」
……っておい!
こんな人目に付かないくっそ狭い場所で神崎先輩は昼休みをかなちゃんと過ごしたのか!?
恐らくここは、カップルのいちゃいちゃスポットだ。
こんなところで隣合わせで肩並べて、ただ昼飯を食べたってのか!?
かなちゃんをそそのかして、ここへ連れ込んだに決まってる。……あのエロ神崎が!!!
ふつふつと怒りのようなものが湧き上がる。
下心なしにこんな場所で昼飯食べるなんて有り得ないからだ。
いや。落ち着け、俺。
ここは冷静に真実を確かめよう。
俺はコホンと一つ咳払いをした。
「えーところでかなちゃん、なんでまたこんなところで神崎先輩と昼飯を?」
「んー、静かだし、日陰だから涼しいし、人目がないから落ち着くしね」
それは確かにそうだな、相違ない。
「……ふうん?どっちが先にここを見つけたの?」
「どっちが先……?どっちだろう。俺と神崎がこの辺でキャッチボールして遊んでて、俺がノーコンなもんだからここの植込みの中にボール放り投げちゃってさ……、で、ボール探ししてたら丁度いいスペースがあったって感じだな」
ほう。偶然か。
「へぇ」
頷く俺を見てかなちゃんは腰を下ろした。
「ほら啓太も座りなよ」
「あぁうん」
とりあえず、このいかがわしいスペースを発見するまでの経緯は至って普通だ。
かなちゃんの隣に腰を下ろすと肩と肩の距離がとても近かった。
隣に並ぶとかなちゃんが自分より一回りくらい華奢でより一層可愛らしく見える。
それにこの距離。周囲の植木により隔絶された他人の視線。
むらむらしない筈がないだろう~~~~っ!!
ドッドッドッ……
かなちゃんの隣に座っただけなのに、心拍数が上がりだした。
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