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第33話

「ちょっと気まずくなっちゃって……。それを見かねて神崎が助け舟出してくれたんだ」 「え……神崎先輩が?助け舟って?」 「いつものグループに居づらくなった時に、神崎達のグループに入れてもらったんだ。それで、これからはいつもここにいろよって」 「いつもここに……」 「あの時はすごく助かった。ちょっと学校行くの嫌になりそうだったから。神崎は俺がハブられてるの気付いてくれたんだ。神崎はいつもそうなんだ。さりげなく友達を助ける。見た目もワイルドな感じでカッコいいから、結構もてるみたいだし……羨ましいよね。俺もそんな風になりたいなぁって思ってはいるけど……。実際は神崎の後ろに隠れてる。男のくせに友達に守られて、ちょっと情けないよな。それに……」 「それに?」 「最近は啓太の兄ちゃんとしてちゃんとやれてるのか、ちょっと自信ない……。困ってることがあったら本当に俺助けるから、な?悩みがあるなら話して欲しい」 かなちゃんは真っ直ぐきれいな瞳で俺を見詰める。 うっ……と言葉に詰まった。 かなちゃんの話からすると、神崎先輩はかなちゃんをいじめから守ってくれたのか。 それにしても酷いな。 かなちゃんに想いが届かないからといってハブにするとか小学生か! 俺の大事なかなちゃんに何してくれてんだよ……!! かなちゃんを悲しませた奴が許せない!大体かなちゃんホモじゃないぞ!多分! しかし、うーん、困った。 神崎先輩はかなちゃんを救ってくれた。それは事実だ。そして今も守ってくれているのだろう。恋敵ではあるが、かなちゃんが嫌な思いをするくらいなら、神崎先輩の近くにいた方がいいのかも……。 神崎先輩に対する気持ちは複雑なものに変化した。 でも、神崎先輩にはかなちゃんを取られたくない。負けたくない。 「かなちゃん」 「うん?」 「俺、好きな人がいるんだ」 弁当を食べる箸を止めてじっとかなちゃんを見詰める。 かなちゃんは「え?」と言って目を大きく見開いた。

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