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第36話

ちょっとドキドキするけれど、ムラムラの方が確実に勝っていて、キスしたいがあまり、唇が少しタコみたいに尖ってしまった。それに気付き慌てて唇を元の位置に戻す。 かなちゃんは目を閉じている。 見られなくて良かった……。 ちなみに俺は目は閉じない。 かなちゃんの美味しそうな唇も、ピンクの頬も、微かに震えるまつ毛も。 全部ずっと見ていたいから。 かなちゃんの肩と背中に手を添えて、唇を近づける。 お互いの鼻先が少し掠めるように触れ、かなちゃんが小さな声を出した。 「ん……」 キスする時も可愛く喘いだりするんだろうか。 かなちゃんが堪らなく可愛く見えて、俺は躊躇うことなく、その赤い唇にキスをした。 自分の唇でかなちゃんの口を塞ぐなんて、めちゃくちゃ興奮する……!!! かなちゃんは緊張しているのか、ぎゅっと目を閉じ、唇も固く閉ざしたまま、俺のキツツキみたいなバードキスを甘んじて受けている。 くそっ……可愛いっ! 何度も角度を変えて、ちゅっちゅっと。 こんなこと好きな人にしか出来なくないか? ふわっと柔らかい感触に何度も優しく唇を重ねて、きゅっと閉じている唇の隙間を舌でぺろりと舐めとった。 「……っ!」 舐められたことにびくんと体を震わせてかなちゃんが目を開けた。 「あ、ごめん」 「あ、いや、ぺろってされたからビックリしただけ」 「ダメだった?」 かなちゃんは赤い顔をしながら静かに首を横に振った。 「ダメじゃない……けど……。キスってこんなこともするの?」 え? ーーーあ!!!!! 「……!!!」 俺の脳天に雷が直撃した位の衝撃が襲う。 ーーー気付かなかった。 もしかしてかなちゃん、キス初めてなの? ファーストキスだった!?

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