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第37話
どうしよう……。
ちょっとした罪悪感を感じる。
いや、でもかなちゃんは、いいよと言ってくれた。
でもこんな機会、そうそうあるわけない。だったらここは強引にでもベロチューまでもっていくべきじゃないだろうか。
かなちゃんは俺のブレザーの袖を掴んで上目遣いで俺を見詰めている。
その姿に俺の胸はきゅんきゅんしっぱなしだ。
なんでこんなにもときめくんだろう。
ずっとずっと、一緒に兄弟として暮らしてきたのに……。
一過性の気の迷いだと思いたい。
でも袖にきゅっと捕まる手も、上目遣いも、可愛いくて愛おしいんだ。
ずくん、ずくん、と血液が中心に集まる。
いや、ずっと勃ちっぱなしでしたけども。そこへさらにぐっと硬度が増したというか。
だってかなちゃんはエロくて可愛い。
愛玩動物を愛でるという意味の可愛さだけなら、軽くちゅっとするだけで満足するだろう。
でも俺がしたいのはそんなんじゃなくてもっと……。
ぶっちゃけるとお互いの体液を交換するくらいの濃厚なキスがしたいというか。
「かなちゃん、恋人同士のキスは舌を中に入れるんだよ」
「……やっぱりそうなの?……ドラマで俳優さんたちがしてるのを見たことあるけど、演技だろうって思った。本当にそんなことするわけないよなぁって」
かなちゃんが更に赤くなる。
そっち方面に無知なことが恥ずかしいんだ、多分。
そこが清らかで、透明感があって、すごく綺麗に思える。
そんなかなちゃんを塗り替えたい。
「このキスが出来れば俺も自分の気持ちにちゃんと向き合えそうな気がするんだ……」
「啓太……」
かなちゃんが視線を落とし何かを考えている。
やっぱり弟とそこまでするのは変だろうと考えを改めているのかな。一般的にはそうだよな。おかしなことだ。自分でもよくわかってる。
……もし受け入れてもらえなかったら、今日のところは悲しいけれど諦めよう。
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