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第57話

男同士、一つ屋根の下ですることと言えば……。 普通ならばゲームやら映画鑑賞やら、至って健全な時間の経過を想像する。 けれど俺の中でかなちゃんと神崎先輩という組み合わせからは、エロエロでアダルティないらぬ想像ばかりが働いて仕方ない。 例えば。 夕食後の映画鑑賞会はいつの間にかAV鑑賞へとシフトして、かなちゃんは見たくないって言ってるのに神崎先輩が 「本郷、こういうの好きなのか?……興奮してんの?可愛い。ここ、膨らんでるぞ」 なんて……。 そんなことになったらきっと……。 「抜いてやろうか?」 「え、神崎、やっ、ダメっ、ひゃっ、あ、あ、いやあああんっ」 と、涙目のかなちゃんとエッチな方向に雪崩れ込むこと必至。 うわーっっっ!! やばいだろ!これは……! 俺は頭を抱えてベッドの上を転げ回る。 かなちゃん……。 かなちゃん……!! なんで妄想のかなちゃんまで、果てしなくエロ可愛いの? ただの妄想だというのに、かなちゃんのエッチな感じてる顔とか慌てて真っ赤になって恥じらう姿とか、リアルに脳内で再現される。 そんなことになったら、そんなことになったら……。 いや、そんなことにはさせない……! 絶対に……!! 俺の目に嫉妬の火が灯り、眉間にぎゅっとシワが寄った。 幸い神崎先輩の家は近い。 ご近所さんだ。 ……そうだ。今すぐ神崎先輩の家に行って、かなちゃんを奪えばいいじゃないか。 よし!そうしよう!そうと決まれば行動あるのみ! 俺は慌てて起き上がり部屋を出るとどたばたと玄関へ直行し、急いでスニーカーに足を突っ込んだ。 「啓太?こんな時間にどこ行くの?」 背後からのこの声は。 絶妙なタイミングで義母さんが現れた。 「え、あ、母さん……。え、と、コンビニ」 「え?お財布も持たないで?」 「……あぁ、財布……」 確かに財布も持たずにコンビニだなんて変な話だ。 それよりも義母さんは結構厳しい。夜間の外出を許されたことは祭りなどの催し事以外では一度もない。 高校生なんだし男なんだしちょっとくらいいいだろうと思うけど、然うは問屋が卸さなかった。 「啓太。あなた体は立派に男でもまだ16歳なのよ。犯罪にでも巻き込まれたらどうするつもりなの!?ともかく夜間の外出は許しません!」 「え、でもまだ8時前だし……」 「あのねぇ、私が作った夕飯も食べずにコンビニ行ってコンビニ弁当でも食べるつもり!?」 義母さんは毅然とした態度で俺の前で腕組みした。仁王立ちである。

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