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第63話

だから、本当のこと、全部言うよ。白状します。 嫌われるかもしれない。でも、好きだから。大好きだから。 「かなちゃん」 「……」 「男同士でキスができるか確かめたいだなんて言ってかなちゃんにキスさせたけど、俺の好きな人はかなちゃんで、でもどうせこの恋は叶わないってどこかで思ってたから、かなちゃんを実験台みたいにしてキスする為に利用したんだ。本当は、ただかなちゃんの事が好きで、かなちゃんとキスしたかっただけ……。他にも。色々と理由つけてかなちゃんに触ったのだって全部俺がかなちゃんに欲情して、かなちゃんの乱れた姿が見たくって、俺の性欲を満たす為にやらしい気持ちで触りたかっただけなんだ。正直言うと、かなちゃんのエロイ顔とか、薄い陰毛とかピンクのち……」 「わーーーーーっっ!待って!もう言っちゃダメだ!!!」 「んふごっ!」 急にかなちゃんががばっと起き上がって喚きながら俺の口を塞ぐようにして手を当ててきた。 「ふが、もご、ふぁらふゃん(かなちゃん)……」 「もう……啓太、ばか」 かなちゃんの顔は真っ赤に染まり、瞼は震え、泣いた後の目元も赤くなっていて少し痛々しくも感じだけど、胸の奥がきゅんきゅんと甘く絞られて、卒倒してしまいそうなくらい可愛かった。 キレイな細い手が俺の口元からゆっくり離れていく。 「本当に?啓太……」 「うん」 ……。 振られたらどうしよう。 ……。 いや、同じ屋根の下に暮らしてるんだから、諦めるなんて絶対無理だ。 「かなちゃん……俺と付き合って、ください」 「……っ」 かなちゃんが赤い唇を噛んで俯く。 「……無理だ」 「……」 うん。多分そう言われると……。そんな気はしてた。 心臓が、いや、心が痛い。 俺は胸を押さえる。 こうなるとわかってはいたけど、ショックだった。 「だって……俺は啓太の兄ちゃんなんだもん。そんなのダメに決まってる」 兄ちゃん。兄ちゃん。兄ちゃん。 かなちゃんはこの言葉に縛られてる。そんな気がした。 本当の気持ちはどこにあるんだ? 俺には一縷の望みもないのだろうか。 いや。あってもなくても、ここで引くわけにはいかない。 自覚はあったけど、思った以上に俺は図々しかったみたいだ。 諦めるなんて選択肢も、もちろんそんな気持ちだって更々ない。 「それは俺もわかってる。でもかなちゃんの気持ちは?兄弟だからダメってこと?兄弟じゃなかったら俺の告白、受けてくれた?」 「そ、それは……」 途端にかなちゃんの目が緩く下がる。潤んだ瞳が俺を一心に見詰めて。 それはもう、可愛くて可愛くて堪んない顔。 ねえ、かなちゃん。 その目は恋してる目じゃないの?かなちゃん。

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