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第67話

ぴったりと密着した唇から、かなちゃんの温かな熱が伝わってきて泣きそうになった。 出会ったのは6歳の時。第一印象は、年上なのに俺より弱そう……だった。 鼻水垂らして野山を駆け回るタイプの俺とは正反対で、かなちゃんは大人しくてちょっとつついたら泣いちゃいそうな、女の子みたいな顔をしていた。 お互いが突然できた兄弟を受け入れられるようになるまで、少しの時間を要したが、精神的にも大人びていたからか、順応が早かったのはかなちゃんだった。 かなちゃんよりも俺の方が心の許容範囲が狭かったみたいで、あれもこれも、様々な事が気にいらず、母さんには可愛げのない子供だと思われたこともあっただろう。 他人が急に家に居座りだした。そんな感覚だったのだ。 母さんとかなちゃんを家族と認めるのが嫌で暴れたこともある。 そんな時は父さんの大事な人を悲しませたら許さないと、何度も怒られた。 かなちゃんは出会った当初から、俺よりずっと精神的にも年上で。俺の気持ちを知ってか知らずか、我が儘な俺にいつも優しくしてくれた。父さんに怒られた時も、かなちゃんは悪くないのに、俺と一緒になって「ごめんなさい」って父さんに謝ってくれたんだ。 徐々に、俺の頑なに拒んでいた心が解け出して、二人を家族と認められるようになったのは、かなちゃんのおかげだと思っている。 ずっと可愛い兄ちゃんだった。中性的な色気を秘めたかなちゃんに、ある日突然欲情しちゃったわけだけれど。 本当にかなちゃんと出会えてよかった……。 子供の頃の思い出が走馬灯のように頭を過り、じん……と胸を熱くしていたら、かなちゃんの舌が俺の唇の隙間をちろちろと擽るように舐めだした。 あぁ、もうっ!控えめにディープキスを強請るこの義兄を前に、正気でいられる方がどうかしてる! 俺だってかなちゃんの唇も舌も、深いキスで全部吸い込んでしまいたい!! 俺ははやる気持ちを抑え、少し口を開けてかなちゃんの可愛い舌を受け入れた。 「はふっ……ん……」 かなちゃんの鼻息が少し荒い。その吐き出された鼻息ですら、澄んだ清い二酸化炭素。草花が健やかに育ちそうだ。 積極的なかなちゃんのキスなんて初めてかもしれない。 俺はかなちゃんの好きにさせたくてじっとされるがまま、受け身をとった。 おずおずと遠慮がちに入って舌が、俺の舌をつんつん突いて誘い出す。 応えた俺に舌を絡ませ、舐めて、吸って、まるで子猫がミルクでも飲んでいるようだった。 ただの子猫でははい。 発情エロかわにゃんこちゃんだ。

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