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第74話

そして訪れた賢者タイム。 かなちゃんにまさか想いが通じるとは思ってもみなかった俺は、部屋の天井を見詰めながら軽い放心状態に陥った。 それは幸せの最中発生したロスタイムだった。 「取り合えず……ズボン穿こうか、啓太?」 「あ、うん」 「啓太……あの……」 「うん?」 「……きもち、よかった?」 俺はぱっと上体を起こし、かなちゃんへ視線を向ける。 気持よかったかどうか確認するなんて、かなちゃん、なんて健気なんだ……! 「もちろん!かなちゃんの口の中、温かかったし、それにすごく嬉しかった」 「そう。良かった」 ふわっとかなちゃんが微笑んだ。 どこか誇らしげに笑っているのが可愛くて、可愛くて、可愛すぎる……!! 正直口が小さくて先端から先までしか銜えてもらえなかったんだけど、かなちゃんが必死にぺろぺろしてたのはわかったし、夢中で唇と舌と手を使って俺のものを奉仕する姿には相当ヤられたぞ。 見てるだけでイきそうだったんだから……。 「それにしても、まさか両想いになれるなんて……」 「ほんと……今までずっと一緒に暮らしてきたのに、なんか変な感じだね」 「うん」 本当に頭に花が飛びそうなくらいふわふわとした心地だった。 スウェットズボンを穿き終えた時、かなちゃんが正面から抱きついてきた。 「啓太……」 「かなちゃん」 「俺、もう自分に嘘つくのやめる。俺は啓太が好き。これからもよろしくね、啓太」 「かなちゃん。俺も好きだよかなちゃん」 俺もかなちゃんの背に手を回し、しっかりと抱きしめる。 華奢な兄の身体が自分の腕の中にあり、その薄い肉感と温かさとで現実を実感する。 しかし能天気に幸せを噛み締めていた俺とは対照的にかなちゃんはもっと先のことまで考えていた。 「啓太」 「ん?」 「あの……、え、エッチしたかった?」 「え!?」 エッチ!?……えっち!?……H!?!? かなちゃんのエッチが脳内でエコーたっぷりにこだまする。 「いや、その、まぁ、……うん」 そりゃあ俺の下で乱れるかなちゃんが見たかったから、したかったに決まってる。 しかしかなちゃんがどんな答えを求めているのかわからず少し悩んだ。悩んだ挙句、何を答えたらいいのか、ベストの答えを導き出すのは不可能で、俺は正直に頷いた。 「それなんだけど、さっき啓太のを…しながら考えたんだ」 「え」 しながら考えた!? ず、随分と余裕じゃないか? 俺なんてかなちゃん見てるだけで出そうだったっていうのに! まさか……実は兄は百戦錬磨の恋愛経験の持ち主で、同性にフェラするのなんて余裕綽々のお茶の子さいさいだったってことか!? じっとかなちゃんを見詰めるが、かなちゃんは恥じらうように頬を赤く染めている。 百戦錬磨とか……ないわ、多分。

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