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俺とかなちゃんのその後 合体!
その後かなちゃんは、冬に東京の大学を受験した。
元々かなちゃんはインドアで過ごすことが多く、ガン〇ムなんかの細々としたプラモデルやらが好きで、実際作っているところも何度か見かけたが、まさか本当にロボットを作りたいと思っていたとは知らなかった。
かなちゃんは、これからはロボットの時代だと言って、電気・機械工学を専門とした都内の大学を受験したのだ。
結果は見事合格。
大切なかなちゃんの希望が叶ってめでたいと思う反面、複雑な心境だった。
何故ならば、かなちゃんは大学に通う為、上京して一人暮らしをするということになるからだ。
ということは必然的にかなちゃんと離れ離れになってしまう。
かなちゃんには勿論心からおめでとうと伝えたが、その後は慌ただしく、かなちゃんとゆっくりいちゃいちゃする時間は全くと言っていいほどとれなかった。
かなちゃんが引っ越しする前夜、食卓に並んだ晩御飯はかなちゃんの好きなものばかりだった。
焼きそばに、ミートボール。茄子と豚肉の炒め物と鳥のから揚げ。それからキャベツのコールスローサラダ。
「彼方、これ好きだったでしょう」
そう言って母さんが指さしたのはミートボールだ。ケチャップがベースになった母さんお手製のソースが、昔ながらの懐かしい優しい味わいで、食べると胸がほっとする。
かなちゃんは母さんの手料理が大好きなんだろう。
俺だってこのミートボールはお袋の味として、その味覚は脳にしっかりとインプットされている。
「すごいね。母さんこれ、ちょっと作りすぎじゃない?」
確かに。誰が見ても驚く程、そのミートボールは大皿で山になって盛り付けられている。
「だって、もうしばらく食べられないでしょう?だから今日はこれでもかってくらい食べて欲しくて」
「母さん大丈夫大丈夫。かなちゃんが食わないなら俺が食うから~」
ふふーんと俺が鼻歌を歌うと、父さんが横から口を挟む。
「あのなぁ、今夜のごちそうは彼方に食べてもらうのがメインなんだからお前少し遠慮しろよ」
「えー。んなこと言ったって、かなちゃんがこんなに食えるわけないじゃん」
俺がそういうとかなちゃんはふふっと笑った。
「そうだよ母さん作り過ぎ。俺こんなに食べきれるわけないし。みんなで食べようよ。遠慮とかそういうのなしでさ」
「ほらみろ。かなちゃんだってそう言ってんだろ」
俺がじとっと父さんを見る。すると父さんも箸を手にして「そうかぁ?」とにやにやしながらから揚げをつまみ始めた。
この日は本当に家族が揃う最後の食卓のようだった。
みんなこの時間を大切に過ごしたいと思う気持は一緒だ。
だからなのか、俺もかなちゃんもいつもの2倍くらい笑った気がする。
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