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第83話

かなちゃんとの再会に胸を膨らませ緊張までしていた俺だったが、あまりに暇でワイドショーの音をBGMに窓から差し込む西日がぽかぽかと暖かくて、うとうとと居眠りをしてしまった。 どれくらい眠ったのだろう。 ガチャンとドアの鍵が外側から開けられた音で目が覚めた。 間違いない。かなちゃんだ。 寝ぼけ眼を擦って頭を覚醒させなくちゃと気合を入れる。 ドアが開くと、想像した通りそこにはかなちゃんが立っていた。 背後から降り注ぐ太陽の光がかなちゃんを神々しく演出する。 神なのか、天使なのか、俺がぱちぱちと瞬きしてる間に、かなちゃんが靴を脱ぎ捨てこっちへ走り寄る。 「啓太っ!!」 気付くと俺の胸の中に、ふわふわとした柔らかな頭が寄せられて、見ればふにゃりと笑うかなちゃんがいた。 「本当に啓太なの?嬉しい!!啓太、啓太……!」 久しぶりに聞くかなちゃんの声。少し高めのイケボだ。 その声も身体も笑顔も、全部本物だ……!! どうしたって俺の顔がだらしなく緩む。 やばい!!!!めっちゃ、めっちゃ、めっっっっちゃ可愛いっっっ!!! 「かなちゃん……」 「啓太、前より大きくなった?骨太になったというか、がっしりして体系も本格的に義父さんに似てきたね」 いいなぁ、かっこいいなぁ、とかなちゃんは俺の胴体に腕を回しながら何度も呟く。 確かにかなちゃんを見る目線が以前より少し下がったような気もする。 それにしてもかなちゃんは相変わらずふわふわで可愛いなぁ。 俺は擦り寄るかなちゃんの両脇に手を入れて、その細い身体を持ち上げた。 大人が子供によくやる抱っこというやつだ。 「わっ」 「かなちゃん、ちゃんと飯食ってるか?」 「え?うん、食べてるよ」 「それにしちゃ軽いな」 「確かに痩せ型かもしれないけど、でも標準よりちょっと軽いくらいじゃないかな。そんなにひ弱じゃないよ、俺」 かなちゃんがそう言って「へへ」と笑った。 ……たまらん!!!! 俺はかなちゃんをそのままぎゅっと抱き締めて、ちょうど鼻先に当たったかなちゃんの髪に顔を埋めた。 「かなちゃん……」 「啓太、俺、汗くさいよ……?走って帰ってきたから」 「ううん、全然。むしろそれがいい」 「えーっ、ちょっと恥ずかしいよ……」 かなちゃんの静止など無視して、すんすん、とかなちゃんの匂いを堪能する。 シャンプーの香りに混じる、仄かな汗の香り。かなちゃんの汗はどういうわけか香しい。 甘いというか何というか、俺の股間を直撃する匂いであることに間違いない。 かーっ、やばい。興奮してきた。 「かなちゃん」 「ん?」 俺に抱え上げられながら抱き締められているかなちゃんは、俺と同じ目線で俺を見詰める。 かなちゃんの表情がちょっとエロい感じに見えたのは気のせいじゃないだろう。 「シてもいい?」 「え、今?待って、せめてシャワー浴びさせてほしいんだけど」 「いい。むしろノーシャワーでお願いします!!」 必死な俺、みっともない。

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