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第87話
「え……もう一度広げるため……?」
ってことは既に拡張済みということでよろしいんでしょうか。
ガーンと頭の中でショックの鐘が鳴り響く。
笑顔が不自然に張り付いたまま動きを止めた俺をかなちゃんが恐る恐る上目遣いで様子を窺うようにして見ていた。
「やっぱり、引いた?」
かなちゃんが一気にしゅんと落ち込んだ表情になり、俺は一時停止していた頭を瞬時に再起動させる。
「そっ、そんなことないよ!だってかなちゃんは俺を受け入れる準備をしてくれてたってことだろ?それはもう、その気持ちだけでも嬉しいよ」
少々驚きはしたが引きはしない。
清純そうに見えるかなちゃんが実はすっごくエロに従順だってことを知っているから。
「よかった」
「で、そのかなちゃんが作ったというバイブはクローゼットにあるんだっけ?」
「そう。クローゼットの中の下着ケースの奥に隠してある」
「わかった。俺取ってくるから待ってて」
「ん……」
悩まし気な顔をしたかなちゃんを置いて立ちあがる。クローゼットの扉を開けるとかなちゃんの洋服が数着ハンガーにかけられていた。
その下に2段になったクリアケースが重ねてあり、外側から見て下の段に下着が仕舞われているのがわかった。
そこを引き開け、かなちゃんをいつも覆っているパンツ達の中に手を突っ込む。すると布ではない異質で硬質なものに突き当たった。
これか?
俺はそれを掴み引っ張り出してみた。
「んー??」
「それだよ啓太」
「え、これ?」
俺の思い描くバイブとこれは大分形状が違う。手で握る部分は木製で短い筒型だ。スイッチはお手製感満載の指で摘まんで捻るタイプだろうか。しかし肝心の先っぽがない……。
「その中にモーターと錘を入れたんだ。スイッチを入れると震える仕組み。で、外側にネジ穴があるだろう?そこに色んな物を取り付けられるようにしたんだ」
「色んな物?」
俺は手元のスイッチを回す。するとブブーッと筒が振動を始めた。
「お、すげぇ!」
かなちゃんはくすくす笑いながら立ちあがる。そしてキッチンから長い棒を持ってきた。
麺棒の先にはネジのような突起が見える。
「それ……麺棒?え……もしかしてそれ、入れんの?」
「うん」
「えええっ!?」
いや待って。太いし長いよ、それ。それがかなちゃんのお尻に入る……?
かなちゃんはどこから出したのかその麺棒にコンドームを装着し、俺の手から筒を受け取りネジ穴に麺棒をセットしている。
まじですか……?
「かなちゃん……、それもうお尻に入れたの?」
「いや、まさか。こんなに太いの入るわけないよ。でも啓太のこんな感じだよね。だから一応作ってみたんだけど。啓太がしてみてくれる?入れる練習はしたんだ。だから細いものはすんなり入るようになったよ」
「細いものって、何?」
「……指、とか」
お手製の立派なバイブを手にし、かなちゃんが恥じらいながら答える。
指という言葉よりも持ってるものの方が恥ずかしいからね、かなちゃん!
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