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第89話
「その……かなちゃんに言い寄ってくる男友達とか……。ほら、前に男友達から恋愛的な意味で見られたことがあったって言ってたじゃないか。その時は神崎先輩が一緒だったからよかったかもしれないけど、今は違うだろ。かなちゃん可愛くてきれいだから、またそういう勘違い野郎がいてもおかしくないなって思って」
「可愛くてきれいだなんて、男に使う褒め言葉じゃないよ」
「あ、ごめん。つい本音が……。かなちゃんほんとに可愛いし、きれいだから……」
「大丈夫。啓太に言われるのは嫌じゃないんだ。でもちょっと恥ずかしくて」
「……ごめん」
「謝らなくていいって。ほら啓太、ワセリン」
かなちゃんの手からぽんとワセリンのケースが放たれて宙に弧を描く。
俺がそれを受け止めると「ナイスキャッチ」と言ってかなちゃんはまた微笑んだ。
「そうだなぁ。大学は色んな人がいるけどやっぱりみんな高校よりは大人っぽいし、いいこと悪いことの分別はついてるから、ちゃんと話せばわかってくれるよ。仲間外れにされたりとかそういうのは全然ないかな。仲のいい友達だってできたしね。心配してくれてありがと、啓太」
かなちゃんが俺の前にペタンと座る。眉毛をハの字に下げた情けない俺の表情。
かなちゃんはそれを見て「大丈夫だよ」と囁きながら、俺の頬にちゅっとキスを落とした。
俺が不安な顔を見せるとかなちゃんはすぐに兄の顔になる。
もっとしっかりしなくちゃ。
かなちゃんを守れる強い男にならなくちゃ。
そう思っても、やっぱりかなちゃんには敵わないと思わされることもあって対等でない自分が歯がゆい。
─いつか追いつくからね、かなちゃん。
年下であることのもどかしさ。そんなものを薙ぎ払い、どっちが年上かなんてそんなことがわからなくなるくらい、かなちゃんを抱きたい。
それでかなちゃんは自分のものなんだって実感したかったのかもしれない。
「かなちゃん、やっぱりそのバイブは止めよう。かなちゃんの中に入る初めては俺じゃなきゃ嫌だ」
悔しさから急にじわじわと涙が表に出てくる。こんなことで臍を曲げるとか、自分でもどれだけ子供なんだと呆れてしまう。
「啓太」
無意識に下唇を噛んだ俺を見て、かなちゃんは俺の名を呼び服を脱ぎ始めた。
「かなちゃん……?」
白いロンTを脱ぎ捨てて、かなちゃんの白い柔肌が露わになる。胸のピンクが艶めかしくて、悔しくて悶々としていた俺だったがデニムの中のジュニアが、起立!と号令をかけられたかのようにピーン!と直立不動に勃ち上がる。
かなちゃんは上を脱ぎ終え立ちあがり、ベージュの柔らかそうなチノパンに手をかけてするんと床へ脱ぎ落とした。
パンストでも穿かせたら最高に似合いそうなすらっとした美脚が露わになり、薄いピンクのボクサーパンツに先走りの染みが滲んでいやらしい形で盛り上がっている。
かなちゃんはパンツに手をかけ、ゆっくりと脱いだ。
柔らかそうな茶色の薄い陰毛。そこから見たことのないくらい綺麗な色をしたかなちゃんの性器が、ぷるぷると揺れながら天井を向いている。
超久しぶりに見るかなちゃんの生股間である。
同じ男のものの筈なのに、やっぱり超絶いやらしい……!!!
「啓太。全部、啓太のものだよ。俺のここは啓太にしかこんな風にならない……。だからそんな顔しないで啓太」
身体を隠すことなく行き場を失った手を後ろに組んでかなちゃんは俺をじっと見詰めていた。
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