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第6話

昴は莉羽が好きだ。 それを自覚したのは多分半年くらい前からだろう。 莉羽と出逢ったのは店長がまだ現役で当時莉羽は14歳だった。 熱がある莉羽を店長が一人にしておけないからとここ、紅蓮に連れてきた。 少し早めに出勤していた昴は莉羽の休んでる部屋を覗いてみた。 あの恐ろしく顔のいい店長の息子とやらに興味があったから。 流石店長の息子、顔はいい。 まぁ、彼はどちらかというと可愛らしい顔でそこまで父親に似ては無いが横顔がふとした瞬間似ている気がする。 すると莉羽が話しかけてきた。 「なぁアンタってずっとここで働いてんの? 名前は?」 「ん?ああ、名前は昴だ。 2年くらい前からここにいる。」 「ふ~ん……… なぁヒマだからなんか遊ぼうぜ。」 「お前熱あるんじゃないのか?」 「大した事ねぇよ。 お父さんが大袈裟なんだよ。 それより遊ぼ!!しりとりしよ!!なぁ!!」 小さな子供みたいにせがむ彼は14歳の割に精神年齢が幼いように思えた。 それ以来度々ここ、紅蓮に来るようになった。 店長は毎回来るなと注意していたが…… 最初は手のかかる弟のようだった。 目を離せば消えてしまいそうなくらい危なっかしくて放っておけなくていつも莉羽の相手をしていた。 けど中身に反して外見は段々と色気を増してきて、いつしか弟から恋愛対象に変わっていた。 どうやったらこいつを手に入れられるのか、最近はずっとそればかり考えていた。 そしてついにキスをしてしまった。 莉羽の唇は思った以上に柔らかくて艶のあるものだった。 それにキスしてもそこまで嫌がってなかったからこれは脈アリか? 「昴君?どうかしたの? ボーッとしてるけど。」 「いや、君をどうしたらもっと俺に夢中にさせられるかなって?」 「いやん昴君ったら上手いんだから~ もうじゃあシャンパン追加するぅ~!!」 いけない、今は仕事中だ。 今は目の前の事に集中しなければ。

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