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第23話

寝ている莉羽を起こさないように車の助手席に乗せ家まで車を走らせる。 家に着くまで莉羽は起きることなくマンションへと到着した。 「莉羽着いたぞ。」 「ん…………」 結構揺すっても起きない。 仕方無く莉羽を抱き抱え莉羽の鞄から鍵を拝借し部屋まで運ぶことにした。 「お邪魔します。」 小さな声で一応挨拶し家の中に入る。 初めてこの家に来たがなんと言うか結構物が多い。 と言うかめんどくさくて片付けて無い感じか……? 取り合えず莉羽をベッドに運ぼうと莉羽の部屋を探し莉羽を連れていく。 莉羽の部屋は男子高校生らしい普通の部屋だ。 そして莉羽をベッドに寝かせる。 布団を掛け帰ろうとしたその時服を引っ張られ振り返ると莉羽が昴の服を掴んでいた。 「莉羽起きたのか。」 「……昴? ここうち?」 「ああ、さっきは悪かったな。 身体痛く無いか?」 「大丈夫。 それよりここいてちょっとだけでいいから。」 「……分かった。」 莉羽は不安そうな目を向けてくる。 だから安心してほしくて莉羽の口にキスをした。 「はっ…ん……」 すっと離れた唇は名残惜しそうに糸を引く。 「ほら、ここにいるから早く寝ろ。」 「ん………」 すると安心したのかすぐに寝た。 だが莉羽は昴の服を握ったままだ。 仕方無く莉羽の隣で横になった。 「………る、………昴!」 何となく声が聞こえ目を開けるとそこには店長がいた。 「お前帰ってなかったのか?」 どうやら自分は一緒になって眠っていたようだ。 「すみません、莉羽に服を握られてて身動きが出来なかったので。」 「………マジですまん。」 「いえお気になさらず、では失礼します。」 挨拶もそこそこに長居はいけないとさっさと家を出た。 ほんとは莉羽と一緒に居られて嬉しかったのだがそんなこと絶対店長には言えない。 言ったら、殺されそう……… だから不審に思われたり、詮索されてはいけない。

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