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第28話

目の前の天使に龍の理性は何処かへぶっ飛んでその艶やかな唇を奪った。 突然の事で莉羽は目を見開いて驚いている。 それでも構わず舌を口内に挿し込むと真ん丸になった目は次第に微睡むかのように細くなっていった。 「ふ……んん………」 このまま押し倒してしまいそうになったが流石にこれ以上は拙いと理性が働いて唇を離した。 「………悪い莉羽。 どうかしてた。」 「別に、気持ちよかったからいいよ。」 「え?」 思わぬ返事に変な声が出た。 え……良かったの…か……? 「気持ち悪くねぇの? もしかして俺のことアリか?」 「……う~……ん……龍の事は好きだけど。 昴と優里も好きだし……よく分かんねぇ。」 は? 昴と優里だと? 「それどういう___」 「あー俺もう帰らないと。 今日も学校あるし!! じゃあな!!」 「え、おい!!」 莉羽は龍の質問には答えずさっさと帰ってしまった。 そして龍はもんもんとした心で仕事に向かったのだった。 しかし気になるのは優里と昴と言った莉羽の言葉だ。 そんな中で優里が龍の元へとやってきて思わず体が強張ってしまう。 「龍~どうよ?少しは慣れた~?」 「そうッスね……まぁまぁ……」 「そう、まぁがんば……… ??」 優里は何を思ったのか龍に顔を近づけた。 「あの………」 「莉羽の匂い。」 「え……?」 「微かに莉羽の香りがするような………?」 彼の言葉に冷や汗を感じ体がビクッと反応した。

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