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第32話
皇一は数年前後輩である一真に告白された。
『僕、皇さんの事が好きです。』
最初は慕ってくれてるという意味でそう言ったのかと思ったのだが彼は恋愛対象として好きなんだと言った。
正直絶句した。
彼は男だしそれにホストをしていると言う事からまさか恋愛で好きだなんて言われるとは思わなかった。
別に偏見はないし一真は真面目でいい奴だと思うが、とてもそんな気にはなれない。
「悪い……もう恋愛は疲れたんだ。
誰とも付き合う気はねぇよ。」
元嫁と離婚し結婚を考えた女とは揉めに揉め、その前にも束縛の激しい女に引っ掛かったりと
とことん女運がない。
「それでも好きです。
抱いて下さるだけでも結構ですから。」
「お前…………」
自分は男の経験はないから少し抵抗感がある。
だが、男ならば結婚や妊娠の縛りはないし、楽かもしれない。
けれどそんな軽い気持ちでいいのか?
そう考えていると一真は首に手を回してきた。
「お願いします。
一度だけでもいいですから。」
「………」
こんな風に迫られてしまえば自分も男だ。
欲が勝ってそのままホテルへと雪崩れ込んだ。
その後も何度も身体を重ねるも莉羽の事とか今までの恋愛遍歴みるとどうしても恋人になることに否定的でズルズルとセフレと言う形でここまで来てしまった。
「こ…う……さ……」
「一真………」
休憩時間、紅蓮の店の誰もいない片隅でほんの一時のキスを堪能していたときだった。
「何してんの?」
「!?」
その声に驚いて慌てて一真から離れる。
そして恐る恐るその声の方を見ると息子がこちらを見ているではないか。
「莉羽………」
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