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第37話
昨夜莉羽から皇一の元にメールがあった。
そしてそのメールをじっと見る。
「どうしたんですか皇さん。」
「一真……いや、莉羽が友達の家に泊まるとメールが来たんだがあいつに友達なんていたのかと思って……」
「……皇さんそれ酷くないですか?」
確かに息子に対して酷いかもしれないが、実際今まで友達と放課後遊んだなんてあまり聞かなかった。
だから友達と呼べる人はいないのだと思っていた。
まぁ、本人が気にしてないようだから別にいいんだがこの間も友達の家に泊まるとメールがあったし……
どんな輩と連んでるのかは多少は気になる。
そして次の日紅蓮に出社すると珍しく優里が早く来ていた。
「店長~」
「おう優里か、今日は早いなどうした?」
「ちょっ~と店長と話がしたくっていいっスか?」
「ああ、いいけど。」
優里と休憩室にて話を聞くことにした。
「で、なんだ?」
「ん~莉羽のことなんスけどもうちょっと話とか聞いてやって貰えません?」
「は?どういうことだ?」
「なんか怯えてましたよ。
店長のお相手さんって存在に……
どんな方とお付き合いされてるのか知りませんがなんか莉羽が可哀想なんで………
それだけです、では失礼します。」
そう言って皇一の元から立ち去る。
優里はあえて皇一の恋人を誰か知らないと言った。
そこは彼のプライバシーの問題もあると思ったからだった。
何となく皇一と一真が付き合っていることは薄々気づいてはいたが莉羽から聞いたときはやはり驚きはした。
「………」
優里が去ったあと皇一は大きなため息をついた。
莉羽が一真の存在に怯えているなんて知らなかった。
と言うかまさかそう思っているなんて考えもしない。
だって一真は莉羽にとても良くしてくれてとても優しく接していたから。
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