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第141話 ∞Loop [return 0;] ( for かどをとおる様)
「明日で夏休み終わりとかマジすか」
――言うなっつの、絶賛現実逃避中なんだから
「嘘だと言って欲しいっすよね」
――ええ、ホントそれっすわ
「俺いっこも目標達成できんかった」
――彼女できなかったもんね、休み前はあんなに張り切ってたのに
「筋トレとランニング毎日やるってのも一日で飽きたっつう」
――クッソ早えな、飽きるの
「計算外だったっつの、この記録的暑さ。走ったら死ぬわ」
――高校最後の夏休みだってのにね
「淋しいこと言わんとこうぜ」
――受験生っすよ、俺ら
「すぐそういうこと言う」
――世界滅亡しねえかな
「それな」
――だってもう、あれよ、君
「ちょっと、『君』ってなに。きっしょ」
――つらいっすわ、正直
「出た、おまえ、俺の前だと時々ネガティヴ入るよな」
――遠いんでしょ、君の目指す大学 。来年はこう気軽には会えんくなるんかなって思うとさ
「なんつって、受かるかどうかも分からんわけだし? 浪人して来年もおまえとこうしてっかも」
――にしては余裕ぶっこいてるやん。なーにが彼女欲しい、だっつの
「抜け駆けすんなよ?」
――ねえわ
「呪うぞ、自分だけそんなん作ったら」
――は、何言ってんの。そもそも俺は彼女欲しいなんて言ってねえし
「一人じゃ淋しいんだろう?」
――ふざけんな、相手してくれるなら誰でもいいってわけじゃねえよ
「へえ、そうなんだ。欲しくないの、彼女?」
――欲しくない
「マジ? おまえなにげにモテんのに。ほほう、今日もイケメンさんやんなあ?」
――見んなよ、バカ
「むっちゃ赤くなってんぞ。そゆとこかね、女子が可愛い可愛いって」
――迷惑なんだよ、ああいうの。からかってるだけっしょ
「もう、照れ屋さんなんだからー」
――や、マジでほんと勘弁
「許せんなあ、これだからモテる奴は」
――よく言うよ、ほんとにモテてたらおまえと毎日夏休み過ごしてないって
「ラッキーだったろ、俺様と過ごせて?」
――リアルに割とマジでガチでそう思ってっけど。……あ、そういや留守電聞いた?
「留守電? わり、気付いてなかった。何の用だったん?」
――練習しただけ、スマホ機種変したばっかで慣れてなかったから。ま、聞いてないならちょうどよかった。今のは忘れろ。つか、聞かずに削除しろ
「録音したんだろ? その言い方めちゃ気になるし全力で聞く、今聞く」
――忘れろってば。大したことじゃねえよ、今日は約束してなかったから、おまえがここ来るか来ねえのか分かんなくて、それで……って、バカ、ここで聞くな
「を? なになにメッセージの再生は1、と」
――んだと、削除しろっつってんだろ、削除! うわーっ、もう!
・・・・・メッセージを再生します・・・・・
――会 い た い
「今の……これ、おまえの声、だよな?」
――うっせ、ただ、ここで待ってて会えんのかなって、不安なったっつか
「え。実は俺も、さ。……もし今日ここでおまえと会えたら言いたいことがあって」
おしまい
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*iqイケそな正解者景品作品
かどをとおるさん描き下ろしイラストにつけたショートストーリー。
全文会話文ですが、ある仕掛けが施してあります。
是非イラストと共に読んでいただきたいです。(「仕掛け」が分からなかった方にはネタバレもしてます)
https://fujossy.jp/notes/23285
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