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第10話
中学生ってそれはないだろうと思ったが、改めて波留の姿を見る。スーツ姿でも幼く見える波留が、ロールアップしたジーンズにスニーカー姿。
確かに中学生に見えなくもないかもしれない、いや見えてきた。それでも二人揃って示し合わせたようにそれぞれ説教しようとするなんてと可笑しくなった。
川原まで匠の車で移動すした。次々と荷物を降ろすと、クーラーボックスから缶ビールが出て来た。そうか!俺以外全員、酒か飲める年齢だ。
「ザック帰りはお前が運転するんだよ」
匠が笑いながら鍵を投げてよこした。1日本の免許も取得したから運転は出来るが、なんだか面白くない。
料理も出来て、何でも卒なくこなす匠は蓮の前で株を上げているし。別に火起こしがすぐに出来るからって……まあ、かっこいいかもしれない。
波留もすぐに二人と仲良くなってようで楽しそうだし……今日は来てよかったな。
お腹もいっぱいになり、穏やかに時間が流れている。就職した後の事なと、匠に相談している波留をそっとしておいてやろうと見守っていた時に事件が起きた。
「匠さん?ちゅーしませんか?」
波留のとんでもない台詞が聞こえてきたのだ。まずい、波留が酔ってる。ふふと笑いながら波留は匠にしなだれかかっていった。
「波留!」
慌てて波留の肩を掴んで、自分の腕の中に囲い込んだ。波留は俺の頭をつかんで二人の目の前で思いっきり俺にキスしてきた。
それで満足したのか、頭を俺の胸に預けて寝てしまった。
「お前の恋人……これで大丈夫か?」
匠にまで心配されてしまう情けなさ。蓮は驚き過ぎて動けなくなってるし。
まさか俺たちがキスも数えるほどで、身体なんてまだ触らせてももらってないなんて信じてもらえないだろう。
今度、酒飲ませてそのまま押し倒してしまえばなんとか……。いやいや、何考えてるんだ俺。
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