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第13話
先輩は中に入ろうとする俺を押し戻して、外へと出そうとする。
「落ち着け、何言ってんだ。波留がここに居るはずないだろう、少しまってろ」
そう言うと、完全に部屋の外に押し出され、目の前でドアがばたんと閉じた。五分ほど待つと先輩が服を着て出てきた。
「波留は?波留に会わせてください」
「だから、波留はここにはいないって、信用しねえの?美咲、ちょっと後輩部屋に上げるぞ」
ミサキ???部屋の中にいたのは、あれっ?髪の長い女性……波留じやない。
「初めまして、ザックくん。遠野美咲です、波留君の彼氏ってこの人?」
えっと?話が……みえない。昨日確かに「政宗から電話あったから少し出てくる」と言って波留は出て行った。
「そう、こいつが波留の言ってたザック。波留と今付き合ってるらしい。こいつは高校の時のバスケ部のマネージャーで、今の俺の彼女。波留の事もよく知ってる」
「こいつって今言ったでしょう?訂正しなさい」
「あ、この方が俺の彼女の美咲さんです。しかし、彼氏って冗談かと思っていたら本気だったんだな」
「んー、私は彼氏って言われても波留君なら解るかも。でも政宗、浮気相手と思われちゃったの?無いわ、あんた達二人とかないわ」
あれ、もしかして……いやもしかしなくても、俺はものすごい恥ずかしい事をしたんじゃ無いのか?
「すみません、昨日から波留が帰ってこなくて……」
「帰してもらえなかったって事は、直談判しかないな。電話連絡もなかったろ。あいつ携帯また取られたのか。俺は頼まれて波留を呼び出しただけ、泣きつかれて仕方なく。んー、プレゼント渡したら帰すって聞いていたのになぁ」
「ザックさん、波留君と付き合うなら最初に攻略しなきゃいけない事があるの、彼が今の今まで彼女がいなかった本当の理由ね」
「だな、お前に覚悟あるなら連れてくぞ。いつまでも波留を縛り付けとくのも可哀想だしなあ、そろそろ自立させなきゃ」
全く言われていることがわからないけれど、波留を手に入れるためなら何でもする。
「もちろん……でもまさか、波留は監禁されているんですか?」
「んー?ある意味そうかも。まあ、ついてくれば分かるよ」
言われた意味も分からないまま、後をついて先輩のマンションを出た。
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