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第14話
政宗先輩達に連れてこられたのは……波留の実家?
「今、車の中で説明した通り、あの三人を説得できなきゃ波留は絶対に手に入らない」
先輩の話によると、波留は男四人兄弟の末っ子。小さく生まれて、身体も弱かったらしい、だから守らなきゃいけないと上の三人の兄貴に溺愛されて育ったと言う。
過保護過ぎる波留の兄貴達は変な虫がつかないようにと、言いよる女子は牽制するし、自分達の宝物だから誰も手を出させないと豪語してるらしい。
出来の良い兄が自慢の波留も言いなりなところがあって、このまま一生守られて生きてくんだろうと皆が思っていたらしい。そしてそれで皆幸せだと。
ところが、波留が今年の誕生日に家に帰らないと言い出した。初めての事に上を下への大騒ぎになったらしい。
プレゼントだけでも渡させてほしいと泣きながら訴えられて、連れ出したのだと先輩は言う。
ああ、なるほどね。
波留が家族とではなく、俺と二人で誕生日を過ごそうとしてくれていたんだと知る。それだけ解れば充分だった。
「こんにちは、遠野です」
美咲さんが、インターフォンに向かって話しかけた。ドアががちゃりと開くと波留を男らしくして、ふた回りはでかくした男の人がたっていた。
「ああ、遠野さん、それと政宗。昨日はありがとうな。ところで、そこのお前は誰?」
にこやかに笑ってはいるけれど、目が一切笑ってない。こういう奴って怖いよ。
「初めまして、ザッカリー ヘイワードと言います。波留とお付き合いさせて頂いています」
「ふーん、なるほどね。兄貴達もお前には会いたがっているよ」
兄貴達?って事は、この人が三男の「フユ」さんという事になる。確か波留の一歳上、大学院一年生って聞いてる、一番波留に近い人。
「どうぞ、入って」
魔殿の扉が開いた。
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