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第19話

 浴室まで素直について来た波留は、一緒に入るのは無理だと言い出した。  「そう?嫌なの?」  「……恥ずかしいじゃない?こんな狭いところに二人でなんて」  「ああ、嫌じゃないんだね?」  「ザック、その質問の仕方って意地が悪いよね」  「あ!いい考えがある、目をつぶっていればいいんだよ。見えなきゃ恥ずかしくないでしょう。服は俺が脱がせてあげるから」  波留はなるほどと思ったのか素直に目を閉じた。どう考えても、この方が恥ずかしいのじゃないかと思うが、波留の恥ずかしがるポイントがわからない。  不安なのだろうか、瞼が細かく痙攣している。そこに優しくキスを落とす、一瞬肩がピクリと震えた。  緩く開いた口元が誘ってる。  「波留、舌出してみて」  舌を絡めて誘い込む。加速のついた欲望がエンジンフルスロットルで走り出した。服を脱がせてまとめて床に落とした。普段は服を脱ぎ捨てるなんてありえないと思うのだが、今日はその落ちた服にさえ欲情するような始末だ。 「波留、優しくするから怖がらないでね、お願い」  そう言うと「ん」と波留が小さく頷いた。  ボディソープで撫でるように優しく身体を洗ってやる。もともと世話をされる事に抵抗のない波留は素直に言う事を聞く。  それでも脚の間に手を伸ばした時に、身を捩って逃げようとする。  「波留、大丈夫だから。じっとしていて」  顔が少し赤くなって、そして今にも泣きそうだ。だめだ煽られてるとしか思えない。ゆっくりと波留自身を扱くようにすると俺の肩にぎゅっとしがみついて来た。  波留の全が俺のために取っておいてあったような気がして目眩がする。  「波留……愛してる」  何度もそう囁く。言葉で伝えられる事は限られている。だから、染み込むまで重ねて伝え続けるんだ。

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