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第21話

 「いっ……」  波留の身体に力が入らないようにゆっくり背中を撫でる。大切にしてやりたい。傷つけたくない。少し様子をうかがいながら丁寧に、怖がらせないように。  「波留?怖い?」  波留はふるふると首を振る。それでも表情から、我慢しているのがわかる。  「波留、ゆっくり時間をかけて理解し合おう」  軽く身体を流してやるとバスローブを着せる。不安そうな波留に何度も繰り返しキスをする。ひとつキスを落とすたびに、波留の身体から緊張が取れていく。  やっと見つけた宝物だからいつも笑っててほしい。少しでも不安な顔はさせたくない。  俺は高校時代はそれなりに遊んだ。  あの時は、蓮に会えない辛さから、誰でも良かった。男でも女でも手当たり次第抱いた。代替え品だから誰だって同じだったから。  優しくする必要もなかった、思いやる必要も。お互い欲望のまま単なる排泄行為としてのセックスしか存在しなかった。  けれど日本に来てからは、誰にも手を出していない。手の届きそうなところに愛する人がいて届かないもどかしさに苦しんだ。  他の誰かでその寂しさを埋める事は自分自身への裏切り行為だという気がしていた。蓮は決して手に入らないと知った時にもう一生誰も愛せないし、誰も抱けないんじゃないかと思っていた。  こんなにまた誰かを愛する事が出来るなんて思いもよらなかった。

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