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第132話
ちょっと待って!
今の状態をよく考えたら、ストップをかけざるを得ない!
お、俺って襲われてるじゃん!?
相手の両肩を掴んで、ぐいっと自分から引きはがす。
唇が離れ唾液が口元を濡らしていたのが分かった。
「ちょっ!ちょっと誰だよ!」
「…」
誰だよってこの部屋には俺とあと一人しかいないから、わかっているもののその人物と全然結びつかない今の行為…夢?
これは都合のいい夢なのか?
暗闇に目が慣れてくると、少しずつその人の姿が浮かびあがって来る。
…やっぱり…
やっぱりやっぱり横溝先輩だった!!!
「せせせせせ!せ!!せんぱ…っ!」
「…」
「なに!?これ!どうしっ!?ああああ!!やっぱ夢か!夢だから俺っ!俺仕様の夢かっ!」
「……馬鹿か…」
「……」
「……夢なら…いいのか…」
「へ」
「夢の中の俺となら…」
「…」
「…する…のか…」
「…」
「…キ…ス……」
「…」
「…」
「え?」
「だから!夢の中の俺とキスはよくて俺とはしないのかって…!!」
「…」
「………言ってんだよ…」
「ええええええええ!!!!」
!!!!!!
リアル!リアル横溝先輩!!!???
どうし!どうしたのか気でも狂ったのか良くわからないけど、先輩が逃げないように一度引きはがした身体をぎゅっと自分の身体に密着させるように抱きしめた。
「ちょ!」
「まずは身の確保が最優先!先輩が!先輩がご乱心されたみたいっ!嘘!?」
「……ご、ご乱心って…」
「それでもいいけど!どうしたんですか!俺にキスしたかったんですか?部屋のラインを越えてまで!」
「ラインは…俺は越えてもいいんだよ」
「へーなんすかそれ……初めて知りました」
「…」
「…俺また寝ちゃったみたいです…よね……湯上り先輩楽しみにしてたのに俺ってば……」
「……凄い…心臓の音するな」
「そりゃ…今パニック中なんで…まさか先輩が俺にキスしてくれるとか…マジ…どうしよう」
「……駄目…かよ」
「…」
「…」
「だーーー!!駄目…かよ…って何その言い方!死ぬ!可愛くて俺死ぬーー!!!!先輩ー!大好き!!」
「…」
「ね、もっかいキスしてください…ってキス…してもいいですか?」
「……」
暗闇の中…一人浮かれているのは自分だけなんだろう。先輩のことを抱きしめているだけで気持ちが高揚する…
ドクン……
ドクン……
何も返事はないけれど、
俺の頬に横溝先輩の細い指先がそっと触れた。
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