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第2話
生まれた時から僕の人生は決められていて、敷かれたレールの上を僕はとぼとぼ歩いて行くんだろう。
そう思いながら僕は毎日生きている。
嫌いな献立を食べなくても、学校をサボっても…人を殴ったとしても…何もなかったように修正されて…元通りになる。
それがわかると…
ワガママを言うのも飽きてくる。
ワガママって…何だろう…
…
とりあえず、
僕のことは放っておいて欲しい…
僕に価値なんてないのだから。
つまり、
学校に行きたくない。
「千歳…それをワガママって言うんだよ」
「…そう?」
兄の三階千央 が真新しい細身のネクタイを僕に締めてくれている。
「…はぁ…ワガママ言うから入学手続きが遅れたし色々なことが色々先延ばしになったんだぞ。わかってる?」
「…あの部屋…気に入らなかったし…最上階なんてあり得ない…」
「あそこが一番良い部屋だからってわざわざ薦めてくれたんだよ。なのにそれでヘソ曲げるなんて。やっと気に入った部屋が見つかったと思ったら…まさかあんな部屋を…管理者も戸惑って念に念を押されてしまったよ」
「あそこなら…退屈しないかなぁって思って…」
「…ちゃんと勉強してね」
「してるでしょ」
「はい…確かに…成績優秀。自慢の弟だと思ってるよ」
ポンと頭を撫でられた。
「入学おめでとう千歳」
「…有り難う…」
「…有り難うって顔しなさい」
兄に頭をぐりぐりされた。
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