5 / 142
第5話
両手を上げて大きく伸びをする。
んー!
かったるい!
このまま寮に帰ろうか…
…登校初日でそれもあれかなぁ。
溜息を何回も吐きながら屋上の手すりにつかまりぼーっと景色を眺めた。
少し怖いけれどちょっと下に目をやる。
下の階には広めのベランダが見え、白い丸テーブルに白い椅子が2脚置かれている。窓が空いているのだろう白いレースカーテンがひらひらと揺れているのがここから確認できた。
ここの下の部屋…何があったっけ?
そんなことを考えつつふとした違和感に気がつく。
…
「…疲れる」
眉間に皺がよるのを感じつつ眼鏡を外した。
ちょっと度が強すぎたかな…目が疲れるんだよな…
きらりと光る新しい眼鏡を拭いてやろうとスラックスのポケットからハンカチを取り出そうとしたとき。
スルリと眼鏡が手からこぼれ落ちてしまった。
え
!!
あああああ!!!??
……
カシャ……と下から小さな響き。
やってしまった…!
こ、壊れた!?
ショックでその場から動けず身体が固まる。
マジでヤバい!週末兄さんと会うのに!!そのことが真っ先に頭に浮かんできた。兄さんから誕生日プレゼントとして貰った物を粗末には扱いたくなかった。
って…早速してるーーーっ!!
急いで屋上を降りて下の階へ…すでに授業が始まっていて廊下には生徒の姿はなかった。
人気のない廊下を音を立てずに速足で歩く。
特に何も表示されていない部屋…
ああ…眼鏡がないと良く見えない…
ここだ。
そっと音を立てないよう慎重にドアを開けた…
そして、
タイトル1のはじまりに戻るのだった。
ともだちにシェアしよう!