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第19話

「はい?」 「俺がもしさ、レイプ魔だったらどうすんの?」 「え!!!?レ、レイプっ!?」 「そこ、そこの柵が壊れてるから行き来自由だよ。つか柵があっても越えられるかな。窓を閉めてきちんと鍵でもしておかないとマジ危ない。まぁここの庭は誰も気にも留めないから君が自由に使っていいと思うけど。でもそんなベランダに無防備に転がってたら確実に下心ある侵入者に襲われるか攫われるよ。…つかヤられるかな…」 …… 小さい子をあやすような優しい笑顔なのに、すっごいこと口にしてて返す言葉が出てこない。 でも柵が壊れてるのは…知らなった。ってベランダまで上がって来てるこの人こそ侵入者なのでは?そう思ったりもしたけどそんな感じもなさそうだ… 身長差があって当然見上げる感じになる。 だよね、僕より背高いよね。 思い切り上から視線を感じるわ…… 「あの…学校は?」 一番最初に思った疑問をとりあえずぶつけてみることにした。 「…どうしたと思う?」 「早退?」 「いや」 「…」 「君と同じ」 「え、サボり?」 あ、 つい口からポロリと素がでてしまった。 「ふ、正解。君も良く授業サボってるよね」 「え」 「この間校舎脇の芝生で転がって爆睡してたろ」 「…あーーー」 何故知ってる!?爆睡って…爆睡してたけどあそこに居たのかー!そう思いつつふと近距離に気配を感じたので顔を見上げると、スッとにつけていた眼鏡を外されてしまった。 何っ!? 眼鏡を奪われてしまいピントの合わないレンズの様に視界がぼやける。 思わず目を細め顔をしかめた。 「ちょっと…返してっ」 「わ、大分度の強そうなレンズだな。結構視力悪いんだな」 そうだよ!と言おうとしたら顎を掴まれて顔を上にあげられた。ついでに何故か前髪まであげられておでこも丸見えにされてしまい意味が分からない! 「目…大きいな。俺の顔見える?」 「見えないって!何で…おでこっ」 「そか…」 「眼鏡返せ…っ」 顎を固定され身体は密着。ほとんど抱きしめられている状態でもがいても身動きができなかった。 この状態が嫌で早く離して欲しいと願い瞳を閉じる。 おーい!こいつ何なんだよっ! もしかして本当にレイプ魔なのか!? 「ほら、返す」 すっと耳にかけられる感覚にほっとして瞳を開ける。 「…」 「悪かったな」 思い切り近いところに美形な顔があって思わず息をのんでしまった。 …キスされそうなこの距離で暫く見つめ合ってしまいどうしたらいいのか分からない。 でもこの人本当柔らかい…柔らかいなんだろう… 陽だまりのような感じだ。 …この感じ… … ふっと絡む視線は解けポンポンと頭を軽く叩かれた。 「…というわけで!ちゃんと戸締りしろよ?分かったか?」 「…はい…」 「それと風呂入れ。泥だらけだ…じゃあな」 「…」 そう言いながらそいつは立ち去って行った。 …確か… 成谷って言ってたっけ?

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