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第24話
「三階…ゴメン…凄く迷惑をかけてしまった。君のジャージ、ロッカーから持ってきたから。制服よごしてしまって…ゴメン!」
「有難う。…横溝の方が大変だろ。机の件は気にしないで…顔色悪いぞ」
「そう気にしないことだ。教室の床も綺麗に清掃して椅子や机も新しいものに入れ替えた。犯人の目星はついているもののやったところを見てないのでどうも追及できないのが悔しいな。ほら、ドライヤーかけるぞ」
後ろから野宮先輩がドライヤーをかけてくれる。
みたいなんだけどっ…
さすがにそれは気が引けるっ!
「あ、あの…!僕自分でできます…!つかやります!」
「いいから任せておけ。じっとしてろ」
「はいぃ」
大きな温かい手が器用に髪を梳かしてくれて恐縮しつつも…とても気持ちが良かった。
…はーあったかい。
「あー!ちょっとそれ俺がやる予定だったのに!あいちゃん代われ!」
「お前は下心ありそうだから駄目だ」
「…くっそう…はい、紅茶どうぞ。ジャムとかハチミツお好みでいれてね。落ち着くから」
「あ、…有難うございます」
文句を言いながらも横溝に優雅に紅茶を入れてる香乃先輩が少し可笑しくて、横溝も少しだけ微笑んでくれた。
「よし、これで綺麗に乾いた」
「野宮先輩、有難うございます」
野宮先輩は短い髪が爽やか眉が凛々しくて男前だ。身長もあるし体格もいい。
頼りがいのある、しかも生徒会長だというその人に髪を乾かしてもらうなんて…絶対おかしい。
「三階…イメージしていた人物と少し違うな。まだ通い始めて間もないだろう?んーいい匂いだ」
渇いた髪の毛の香りを嗅ぐのにソファの後ろから野宮先輩に頭を撫でられクンクンされる。
殆ど抱きしめられる状態になり香乃先輩がわーわー!文句を言っているのが聞こえた。
後頭部に野宮先輩の吐息がかかりゾワゾワしてしまう。
おかしい!おかしい!
「あの!あのおおおお!!」
「おい一智!急に呼び出しっ…て……何…」
ガチャリとドアが開き、
そこには目が点になって佇む成谷先輩が現れた。
「お前ら…何してんだ?」
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