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第33話 覚める
…
瞼が重い…身体が重い…
何か…
色々痛い…
…
?
「ここ…どこ……」
見慣れない…というかぼやけでよく見えない天井を見上げ小さく呟いた。
周囲は暗く白熱色の間接照明だろう温かな光が小さく灯っている。
僕の声に反応する人の気配。
「俺の部屋…」
キシ…っと軽く沈む感覚でここがベッドの上だということがわかる。
誰だろうと思うけど…先ほどあんなに怖い思いをしたのにも関わらず不思議と恐怖心はなかった。
…
そして目の前に現れた形の良い美形な顔をじっと見つめる。
優しそうな瞳で鼻筋がスッとしていて…綺麗だ…
少し長めの髪は柔らかそうでくるんと内側にカールしてるのが少し可愛いと思ってしまった。
「…顔…近いです……成谷先輩…」
「だって裸眼だとこれくらいの距離じゃないと確認できないだろ?」
「…そう…だけど…」
頬に先輩の指先が触れるのが分かった。
「顔色悪いな…何か飲むか?」
「…いいえ……あのここは…」
「だから俺の部屋。で、俺のベッドで君は寝てる。今は夜の11時過ぎだよ」
「なんで僕…成谷先輩の部屋に…」
「倒れた君を一人部屋に寝かせておくわけにはいかないから、色々議論したけど最終的に俺が保護することになった訳」
「…」
「やっぱり何か飲め…何がいい?」
「…水」
「オッケー」
仰向けになったままぼーっと天井を眺めた。
身体の色々な個所が痛む。
緊張の糸が切れてしまって指を動かすのも億劫だった。
「ほら、起きれるか?」
「…はい…あ…あれ?このシャツ…っ!」
起き上がってみて初めて自分の衣服が着替えさせられていることに気がつく。スラックスは脱がされていて、大きめなシャツ1枚だ。
手足が痣だらけだった……
「制服のままは嫌だから俺のTシャツに着替えさせた。大丈夫変なことは何もしてないよ。はい」
「…有難うございます」
受け取ったコップに口をつけて一口水を飲んだ。
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