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第34話
「少し熱が出てきたかな…」
僕の首筋に触れる成谷先輩の手は温かい。
「大丈夫です。休めば下がると思うので…緊張しっぱなしだったから」
「…頑張ったな。細田はもうここにはいないから安心しろ。横溝も明日から登校できるだろ」
「はーーよかったーーストレスが限界越えてました。ちょっと…気絶するとか…本当すみません…」
「はは、大役を果たしたんだから気にするな」
細田はあの時一気に踏み込んできた生徒会のメンバーに取り押さえられて訳が分からないまま捕獲されてしまった。
本人も何がどうなってこうなったのか分からないだろう。
…一言でいえばこれはおとり捜査だった。
おとり役は勿論僕で、興味を持たれるように接近しできれば誘惑しろって言われた…でもそういうことはしたことがないのでなんとか豆に話しかけることに徹した。
はじめは勿論警戒されたけど、会話を何度か交わすうちにそれも解れ、計画通り交渉に持ち込めることができのだ。
被害にあった生徒は横溝の他に二名。彼らから彼の行動を聞き込み、細田の舎弟だという二人の男子からも吐かせた。男子生徒は細田が怖くて嫌々協力していたらしく素直に捜査に協力してくれた。
どこに連れ込んでことに運ぶのかやデーターの保管場所などを吐かせ、部室近くのトイレや武道館の倉庫などに極秘に防犯カメラを設置したのだ。これらは全て生徒会中心に行われていた。
「公にはできないが処罰はしっかりと受けてもらうからな」
笑わない野宮生徒会長からそう言われた細田は力なく従ったという。
そりゃそうだろう…野宮先輩はここの学校の理事長の息子なのだから。
…
はぁ…本当によかった。
細田の視線はとても…とっても気持ちが悪かった。
舐めるように全身を見つめられると不快で寒気がした。それに何か…何か後半名前で…千歳って呼ばれてた僕!!
「わーーーっ!!!あいつの事、思い出すと気持ちが悪い!寒気寒気!!」
思い出して自分の両腕をわしわしさすって気持ちを落ち着かせる。
ベッドの上でわー!わー!していたら隣に腰かけていた、成谷先輩にぐいと抱き寄せられてしまった。
何とも言えないいい匂い…
…
「落ち着け。よしよししてやるから」
「…」
「よしよし」
「…あの…」
「何」
「…何か親切過ぎませんか?先輩…」
「…そう?」
「……そうです…あーと…普通こんなこと…っていうかここまでしないですよね」
「…そうかな…」
……し…しない…
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