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第37話
…優しい…
言われてみれば確かに熱っぽいし体調は良くないみたいだ。ドキドキがとまらないし…
「でも…ベッドとっちゃって悪いです」
「大丈夫そんなこと気にするな。横になってゆっくり身体を休めた方がいい。それか何か食べる?」
「…いえいいです」
「じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
もそもそとベッドの掛布団の中に入りそっと目を閉じた。
……
植物がないと落ち着かない…
部屋に観葉植物の一つでもあればいいんだけど見あたらないし、ここが最上階だと思うと更に落ち着かない。
…息苦しい……
今日は疲れた…でも怖い思いをしたけれど横溝のことを思ったらどうってことない。
僕は綿密に計算された計画のなかで守られていたのにも関わらずとても怖い思いをした。
学校にも生徒にもほとんど興味はない。
でもこれは見て見ぬふりをすることはできなかった。
横溝の寂しそうな横顔につい惹かれたんだ。
真面目なクラスメイトが見えない何かに縛られ苦しんでいるように見え…その縛りを少し解いてあげたかっただけだ。
正義とかそんなんじゃない…
ちょっとしたお節介だ…
…
この匂い…
嫌な感じじゃないなぁ。
…
ベッド横取りしてもう訳ない。
そう思い瞼を閉じた。
少しだけ瞳を閉じただけなのに…
再び開けた時はもう朝だった。
…
あれ…
ここどこだっけ?
ぼーーーーーーっと薄明かり差し込む大きな窓を眺める。
…
何で服着て寝てんだ僕…
気持ち悪くてポイポイとTシャツと下着を脱ぎ捨てた。
眼鏡眼鏡…
ベッドから降り裸足でぺたぺたと歩いて探し物を探す。
ん、あったあった。
半目で机らしき上に自分の眼鏡を見つけてそれをかけるとふと周りが少し違うことに気がついた。
…こんな机…知らないなぁ…
ここ、家じゃない…
あれ?
ガチャ
「おー起きたか?おは よ う 」
「 え」
扉が開いたそこには、成谷先輩がこちらを見て固まっていた。
それと同時に僕も固まりお互い数秒間時がとまっていたことだろう。
「わーーーーーーーーーっ!!!!」
一気に目が覚め恥ずかしさでベッドの中に逃げ込む。
しまった!!
完全に寝ぼけてた!
ここ家じゃない!
自分の部屋でもない!
扉を開けたのは兄さんではなく成谷先輩だった!!
「ご、ごめんなさいーーーーーーーっ!!!!」
全力で叫んだ。
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