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第42話
「…あの、香乃先輩」
機嫌良かった香乃先輩がランチルームを出たとたん無言でスタスタ歩き出す。
手を繋がれているので自然と僕も速くなってしまうんだけど、速さに付いていくのがやっとだ。
「ふぅ…」
「う…っわ!」
急に立ち止まる香乃先輩に激突する!
ぎゃふっ!!
「あ、三階ごめん!眼鏡大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
鼻を押さえながら答えるとあははと笑いながら頭を撫でられた。
校庭脇の花壇には色とりどりの可愛らしい花が咲いていた。
外の空気は気持ちがいい…ホッと一息してしまう。
「三階は粉川と最近仲良いの?」
「え……全然」
「……はは、全然って…」
「はっきり言ってウザイです。って本人に言っても無駄で毎日付きまとわれています。めげないし諦めない…なかなか出来ない彼のその行動に、最近は感心し始めている自分がいるくらいです」
「あはは、何その言い方!…三階は面白いな。そんなに迷惑なら色々対策の仕方のもありそうなのにしないんだ。俺なら速攻するけどね。優しいんだな」
「優しくはないですよ。来ても基本ほったらかしだし…僕に害があるわけでもないから…」
「あいつはね、君が太我に気に入られてるのが気に入らなくてワザと君に纏わりついてるんだと思うんだ」
「…」
「…」
「…は?」
「反応おそっ!!」
???よく意味が分からない…僕が成谷先輩に気に入られていることはないと思う…気に入られているとしても、何故にそれで僕に纏わりつかなくてはならないんだ?
気に入られる覚えも実感もない。
呆れた顔をしている香乃先輩はサラサラな髪をわしわしと搔いていた。
「そうか…三階は…その気がないのかぁ。それかただの鈍感か…俺も良く分からないな…でも粉川は三階に太我の話をしてこない?」
「…えーと、成谷先輩とつき合ってるって…彼氏だって良く言ってますよ」
「あーそれそれ!それ系の…ってつき合ってると思ってるのは粉川だけだと思うけどね」
「でも…エッチが上手いとかなんとか言ってましたけど」
「あっはは!!マジで?本当うける!三階、口尖がってるぞ!」
「…付き合ってもないのにエッチするとか…だらしないと思います」
「はは…そうだね。本当そうだと思うよ…本当そういうところはだらしないんだあいつは」
僕の頭をポンポンする香乃先輩は成谷先輩のことでひたすら笑っているけど、馬鹿にしているわけではなかった。
仲の良い関係が築けているのだろうその笑いについフフっとつい自分も笑ってしまった。
「香乃先輩と成谷先輩って仲いいんですね」
「はは、小さい頃から一緒だからね。幼馴染ってやつだよ。…あいつ悪い奴じゃないからさ、たまに相手してやって?…それと粉川あいつには気を付けてね」
「…はい」
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