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第48話 式典
式典当日、苦しいネクタイをきちんてしめて体育館に移動していた。
「三階…顔色悪い……」
「…式典ってさぁ…具体的に何やるんだろうね」
「えーと色々な人祝辞を聞く退屈な催し」
「だよね」
朝から賑やかで体育館へ続く廊下には、企業から個人から贈られてきた豪華な花が並んで華やかに彩られていた。
……花に罪はない…
立ち止まり、美しい胡蝶蘭を見つめてため息をついた。
「そのあとに立食パーティーなるものがあるらしいね」
「…」
そんなのサボるに決まっている…!!
成金学校め!
「式辞終わったら俺の胸に飛び込んで来ていいからねー!みっかーい!!」
そう言われてぎゅっぎゅっと抱きしめられた……
「こ、粉川……」
「大丈夫だよっ!俺がついてるからバチーンと決めてよね!」
相変わらずきゃぴきゃぴしたテンションの粉川は可愛らしい顔でわざとらしい嘘を喋る。
本心ではないとわかっているけれど何故そんなことをいうのかが未だに理解できない。
粉川が無理をしてしるのはわかるんだけど……
「と、飛び込まないけど、まぁ頑張るよ。粉川有り難う」
「…うふふ。ファイトだよ!」
ピースサインをする粉川から横溝に強引に離され引きずられるように席につく。
全校生徒の脇には学園の職員やその関係者。
支援している企業やOB、都議会議員の姿もあって胸がムカムカしてくる。
脇に控えている管弦楽の演奏が始まり、式典を優雅に盛り上げ華やかに式典が始まった。
校歌や校長の挨拶などが済み、自分の名前が呼ばれる。
…
厳かな雰囲気の中で来賓に一礼し、言われた通り壇上へ……
壇上に上がらなくても良くないか?
…
数多くの視線が僕に集まる…
先ほどまでの華やかさは一切ない。
手にしていた原稿を広げ淡々と読み上げる…
…
……
しかし、
読み上げたいのも山々…
読み上げることが出来なかった。
式辞であるはずの原稿には、
「今晩のお品書き100選」
晩御飯にオススメのメニューがずらずらとしたためられていたのだ。
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