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第49話
成谷
何を考えているのか粉川が三階になついている。
どうみても一方的だけど…
粉川のテンションが可笑しい…
一智は粉川が嫌いで三階につきまとうあいつを早くどうにかしろとか言う。
なんだあいつは?
三階の保護者か?
…何故俺がどうにかしないといけないんだ?
粉川は俺の友達でも恋人でもないし全く関係ない…確かにセックスをしてから馴れ馴れしくなった気はするけれどそれは粉川だけではない。
ただ粉川の容姿は美少年と言われるだけあって目立つし、彼は周囲をあまり気にしないので俺との関係も隠さずペラペラ喋る。
際立つ容姿もありたちまち俺の恋人と公認されてしまった。
……
俺、一言もそんな事言ってないし?公認って誰が決めてんだよ。
確かに彼は綺麗だとは思うけど…
悪い…それくらいの美少年、美人は沢山いる。
三階も俺と粉川のことは本人から聞いているだろう。
…何を話しているかは大体想像がつく…
三階はそれを聞いてどう思っただろう…
謎の好奇心が起きランチルームで粉川に呼ばれた時に粉川に甘く接して三階の反応を試してみた…
しかし…三階は表情に乏しくて感情を読み取れない。
…能面みたいな顔でスルーされ席を譲ろうとしたことに若干俺のプライドが傷つくのがわかった。
イラっとした瞬間……あの馬鹿が…一智が三階をかっさらって行ってしまった。
……あの眼鏡野郎…調子に乗りやがって…何考えてんだ。
そもそも…俺は何をイライラしているのか…
体育の授業の時もそうだ。
校庭のグラウンドでストレッチをしていた時、ふと校舎に視線をやると窓からこちらを眺めていた三階の姿があった。
眼鏡をかけているので瞳はわからないけど確かに俺を見ている。微笑みかけたけれど…
…無視された。
…あいつ…なんだ?…ムカつくな。
最近軽くあしらわれていることが気に入らない。あの事件があってから関わりは浅くはないと思ってるし無視されるようなこともした覚えはない。
お坊っちゃまの気まぐれか…つか、ムキになってる自分がいて馬鹿じゃね?って突っ込みを入れた。
…
式典当日、三階の姿を見かけた。
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