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第56話
無理矢理押し付けられてるキスは抱きしめた勢いも働いて…ちょっと痛い。
な、何が起こってるんだ…
成谷先輩も急に現れた横溝に驚いてしまってフリーズ状態だ。
固まったままの僕を抱き起こして羽交い締めにした横溝は、
「三階はお前みたいなタラシにはやらん!」
そういい放ちズルズルと僕を引きずって行く。
呆然と立ち尽くす先輩の姿が遠退いて行くのが見えた…
「…ったく…心配になって来てみればまさかのキスシーンだった!」
…
「本当に頭にくる!」
「よ、横溝……?」
「頭にくる!って言ってんだよ!」
「あ、はいっ!」
中庭を抜けて一度校舎の中へ…
すでにパーティーが始まっているようで、校内に人は少なかった。
それでもランチルームは解放されていて、そこで温かい紅茶をオーダーする。
…
目の前に座っている横溝は怒っているみたいだった。…眉間にシワがよっていて…怖い…
「…」
「…あの…」
「…はぁ…」
「…」
「…三階ごめん…具合悪いのに強引に引っ張ったりして…悪かった」
「…大丈夫。大分回復したから」
「本当ごめん…それに…」
「…」
「キス…して…ごめん!」
綺麗な顔が恥ずかしそうにペコリと頭を下げた。
「…う、うんいいけど…横溝って僕のこと好きなの?」
「好きだよ!」
「えええ!」
スパッと言われてしまって返す言葉が出てこない。だけど真剣な顔した横溝はしっかりと僕を見つめてくれている。
「…有り難う…僕…」
「大丈夫、三階がその気が無いことくらいわかっているし今のままの関係がベストだってわかってるから…深く考えなくていい。でも俺は三階のことが好きだし尊敬してるんだ。三階となら一線越えてもいいって言ったの嘘じゃない…って実際は無理かもしれないんだけどそれくらい好きだよってこと」
「…横溝」
「……まだ、ちょっと怖くて…そういう行為に抵抗あって…できそうにないんだけどさ。あ、って言うか!成谷先輩にはうちの大事な三階をやるわけにはいかない!」
!
はぁ?うちの大事な?
「三階は成谷先輩のこと好きかも知れないけどあんなタラシ駄目だ!!」
「ちょっと!ちょっと待って何だよそれっ!何で僕が先輩のこと好きなんだよ!」
「は?あんな気持ちよさそうにキスしてて…嫌いな分けないだろ」
え?
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