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第67話
成谷
三階は当然だけどここのブランドの服に身を包み、飲み物を片手に立っていた。
クラシカルなスーツが良く似合っていてそれに合わせたのか、かけている眼鏡もいつもと違う。
…
「三階!」
とっさに言葉に出して叫んでいた。
「成谷先輩!こんにちは!」
…
…今まで学校で無視されていたのが嘘のそうなにっこりとした爽やか笑顔が返ってくる。
三階はとってもキラキラしていた。
…
あ、
もしかして…オンになってる?
「お前、どうして?」
「勿論招待されてるからだよ?兄さんとね!成谷先輩は誰かとご一緒ですか?」
「あーうちは…」
「三階くーん!お前たせー!もうほったらかしにしてゴメンね!なかなか取材が終わらなくて!あれ、君は成谷くん?」
そう言いながら現れたのはこのブランドのデザイナーの竹内だった。
見た目は若く見えるけどもうアラフォーのおっさん。
この業界では若い方でみたいだけど才能は確かだしカリスマ性ある人物だ。
「竹内さんお久しぶりです。今回はご招待頂きまして有難うございます。今回は母が出席できずに申し訳ありません。いい年なのに行きたいと駄々をこねていましたよ」
「いやいやとんでもない!お母さまにはいつもお会いしてるしね!君が来てくれると関係者たちが喜ぶから嬉しいよ!ところで君たち知り合いなのかな?」
竹内はポンと三階の肩に手をかけて顔を覗き込むように三階に話しかける…
…
「はい、高校の先輩なんです。こんなところで会えるなんてびっくりしました」
「ああ、そうなんだ!三階くんも高校生なんだものね!おめでとう!今度なにかお祝いのプレゼントしたいなぁ」
「えええ!そんなのいいですよ!兄に叱られちゃいますから!」
「ははは、気にしないで!お兄さんにワガママ言ってやっと君に出席してもらえたんだからそれくらいはするよ!」
ご機嫌に三階にハグするこのデザイナーはしっかりと三階の尻を撫でていた。
…この…エロスケベゲイが…
しかし、三階の猫被ったようなテンションもなかなか凄い。
周りの空気をよんで無理矢理あげているんだろう…
「わぁ…高一なの?可愛い!お姉さんと写真撮ってもらえるかしらぁ?」
「え、いいんですか?喜んで!」
「こっちこっち!こっちで撮りましょう!」
ニコニコする三階の手を引っ張り連れて行ってしまった。
モデルたちはキャーキャーテンション上がりまくりだ。
…っとに…
イライラするな。
男性モデルは身長が高い。
普段見慣れない身長の低い三階は可愛いマスコット化されていて女性陣のいいおもちゃにされていた。
手に持っていた飲み物をこぼしてしまったのか、周囲がワイワイキャーキャー言っていて煩い。
…あいつ大丈夫か?
オンになってるのはあのキラキラオーラでわかるけれど、今まで見たきたあいつの状態を考えるとそう長続きはしないはず。
やれやれ…また、倒れるんじゃないか。
「太我くーん!あんなに可愛いお友達がいたなら教えてくれたらいいのに!あの子私のおっぱいに赤面しててかーわーいーーーー!!」
「思わずキスしまくっちゃった!ウブな感じがたまらないわよね!」
「…経験なさそうだからお手柔らかにお願いしますよ?って…三階どこに行きました?」
「えー?あ、竹内さんがフィッティングルームに連れて行ったわよ?お茶こぼしちゃって彼の服が濡れたからって」
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