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第77話
夏休み明け早々学校を休んでしまった。
行く気はあったんだけど…どうしてもこの部屋が気に入らなくて、夜眠れなかったんだ…
うぁー!!
ソワソワしっぱなしで…息苦しい。
ベッドの上で髪を両手でわしゃわしゃする。
ベッドの近くに1階から持って来た植物を置いてみたけど駄目だった。
た、耐えられない!
…全然足りなくてスマホを鷲掴む。
「あ、もしもし兄さん?…あ、うん?今、3時だけど?頼みたいことあってさ…うん、そう…」
真夜中に寝ている兄を叩き起こしてお願い事。
お願い通り翌日に知っている花屋から沢山の植物が届き、それの設置やお世話に勤しんだ。
用土一式はベランダに…はぁ…土の匂いが落ち着くんだ…
…
そうなると作業が楽しくて仕方なくなり、夢中で植え替えやお世話をした。
「…で、気がついたら…数日過ぎてたみたいで…スマホの充電も切れ…何曜日かも忘れちゃった…みたいな?はは」
「……何それ…それでさぁ食べることも忘れたりする?」
「ごめん。久しぶりのご飯美味しい…有り難う幸」
「……まぁ、いいけどさぁ。でも食事はちゃんととらないと駄目だよ。ただでさえ千歳は身体細いんだから」
「う、うん」
呆れ顔の幸に頭をポンポンされながら部屋で食事をとる。
ランチルームからオーダーした定食だ。
食べれるものだけモソモソよく噛んでから飲み込む。
半分以上…食べられない…
これが僕のエネルギーとなり血となり力となるんだろうけど、食べることにあまり関心がないので苦手だった。
「…もう…ちゃんと毎日食べることわかった?」
「うん、もう落ち着いたから大丈夫。ちゃんと食べるよ」
「部屋…いい感じになって良かったね。あとさ、この階の先輩たちにはもう挨拶はしたの?」
「……あ…」
「……はいはい、してないよね。聞いた俺が馬鹿でした。フロアーには後全員あの先輩方だし…ちゃんとしておかないと駄目だと思うよ。…成谷先輩にもしなよ?」
「…」
「…困った顔しない。もう避けるとか無視とか出来ないんだからさ?避けたいって思う三階の気持ちもわかるけど……」
「…まだ怒ってるんだけどなぁ…」
「じゃぁ怒りながら挨拶したらいいよ」
「…ぷ、何それ」
「成谷先輩だって……あーーまぁ…いいや…もう時間だし部屋に戻らないと。また明日ね千歳」
「うん、また明日」
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