85 / 142
第85話
学校が終わりいつものように幸と一緒に校舎を出て寮まで続く遊歩道を歩いていた。
「今日も成谷先輩と会う約束してるの?」
「んーまた明日って言ってたけど、ちゃんとした約束はしてないんだよね…スマホもまだ知らないし」
「あーそこからか君たちは…番号交換しておきなよ?」
「う、うん…」
「」
「」
「…千歳?」
「…な、何」
「もしかして…先輩に会うのに緊張してるの?」
「…し、してるかも…結構してるかも」
「わぁ…」
「だって今まで成谷先輩のこと避けてたし話す機会ってそんなに多くなかったから…何かこうなること予想できなくて…急になんか…どうしよう」
「…まぁ…そうだけど…千歳ってこういうのに慣れてない感じだよね…」
寮内へ入りエレベーターのボタンを押す。
扉が開くと吸い込まれるよう中へ二人入り11階と12階のボタンを押した。
「…だって…今まで必要なかったし…」
「必要なかった…って。変な言い方」
「それにまさか男の人好きになるなんて!信じられなくて…」
「…だよね。ここ男子校だしねーでも好きになっちゃったら男も女も関係ないってことだよね?ちゃんとさ、先輩と話しなよ?」
「…うん」
頭をポンポンされて幸は11階で降りて行った。
…
そうなんだよね。
好きになっちゃったんだから…
性別って関係ないんだよね。
だって、こんなにも会いたい気持ちがとまらない…
成谷先輩のどこが好きなんだろうって良く考え分析するけど…よくわからないんだ…
その答えがいつも出てこないから、毎回それを宿題にして先延ばしにしてる。
…でもその宿題…嫌いじゃなくて、
ふとした時に…気が付くと考えてるんだ…
…
最上階は午後の日の光が射し込み眩しい。
ラウンジもブラインドがかけられていなくて眩しい…けれど冷房が良く効いていた。
…
ラウンジのソファに座っている人物…
…ゆっくりと立ちこちらにやってくるその姿はやっぱり優雅で美しい。
…
「今…部活の時間じゃないんですか?」
「…俺、幽霊部長だからね…それに今日は休むだろ。言っただろ明日って」
「…あの……」
「連絡先知らないから、ここで待ってた。三階とりあえず、ここは危ないから部屋に行こう。あいつらに邪魔されるかもわからないから」
「危ないって…」
「一智は三階のこと大好きだしな」
手を繋いで導かれるように成谷先輩の部屋にやって来た。
昨日と同じ綺麗な部屋。
「昨日も思ったけど先輩の部屋って綺麗ですよね。どこもピカピカだし整ってる……」
「ほとんど趣味みたいなものかな。掃除」
「え!わっ!!」
掃除が趣味!?って言おうとしたらもう先輩の腕の中で思い切り抱き締められた。
あ、あ、あったかい……
…ドキドキと鼓動が…伝わってくる……
抱き締める腕が背中に…
手が撫でてくれると心がキュってなる。
背中や腰を…お尻を…
何故…お尻を…撫でる。
「…あの、お、お尻」
「お尻可愛いな。ね、三階はいつから俺のこと好きなの教えて?って言うか俺のこと好き?」
「え…あ、あの……す、好き……です……」
「……良かった。顔赤いのは熱があって具合悪いのかと思っていたけど…違ったんだな」
抱き締めながら色んなところを先輩が触ってくるので少しくすぐったい。
腰を撫で、わき腹まで触ってくる…触り方が段々やらしくなってくるから気持ちが焦ってきてしまう。
「せ、先輩…」
ともだちにシェアしよう!