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第93話
…
…
「お前らな…学校サボってひたすらセックスしてただと…」
「…やだ…俺のお気に入りがついに太我に食われちゃった」
「いやー気がついたら夜明けで?ちょっと寝ようって言って寝たら夕方で…もう授業も終わってたなぁー仕方ねえか。…みたいな…な?三階」
「え!あ!あの!はい…そんな感じです野宮先輩…ごめんなさい…」
…
次の日サボったのが野宮先輩にバレてしまい…
しかも誤魔化すこともなく成谷先輩が平然と吐いたので、野宮先輩がキレッキレになって怒っている。
香乃先輩は嬉しそうに僕を抱きしめながら泣いてる…フリをしていた。
「太我が離してくれなかったのかぁーそうだよね。やっと恋人になれてやっとイチャイチャできたんだものね。こんな可愛い子相手だもの離れられないよなぁ」
「そんなに三階にくっつくなって!一智離れろ!」
「は!でた独占欲!三階は皆のものだからね!」
「…ざけんなよ」
「あの、途中から離さなかったの…僕なんで僕も悪いです。野宮先輩…ごめんなさい」
「「「」」」
恥ずかしいけれど成谷先輩一人を悪者にできないので正直に伝えた。
…後半もっとしたいとおねだりしたのは僕だ…
野宮先輩の顔が引きつって泣きそうになり、香乃先輩は瞳がキラキラしていて感動している風だった。
…香乃先輩から引きはがされた僕は、成谷先輩の腕の中に納まっていて甘い笑顔の先輩に抱きしめられていた。
「そういう事だ、碧人…おねだりされたら答えてあげないと…なぁ三階」
「お、お前の態度が気に食わん!!」
その後すっぱくすっぱく野宮先輩から厳重注意を受けただけで何とかすんだ。
確かにセックスで学校休みのはちょっと不謹慎なので以後気を付けよう…
次は僕も本気で怒られる気がした…
野宮先輩ごめんなさい。
それと、
「なにそれ…すっご…」
「…あはは…」
陽だまりの中、中庭のベンチに腰かけ幸に報告した。
「身体…大丈夫?」
「あ、うん大丈夫」
「そっか…よかったね千歳。成谷先輩とラブラブになれて!つか熱すぎ!そりゃ野宮先輩も怒るわ」
「あはは…本当…反省した」
チュッとおでこにキスされる。
くすぐったくて嬉しいキスだ…
幸がそばにいてくれて応援してくれてとても嬉しいし支えになる。
抱きしめられるとあったい気持ちになるこの幸せな気持ちは、成谷先輩からはもらう事のない友情の温かさなんだと感じた。
「スマホ、連絡先交換できたの?」
「うん、できた」
「そか、よかった…ねぇ千歳」
「なに?」
「先輩とのセックス…気持ちよかった?」
「…」
「…」
「…う、うん」
「ぷ、変な顔!よかったな」
「…」
もふもふと頭を撫でてもらうと嬉しいと同時に若干の切なさが込み上げてくる。
…
幸のことは大好き。
大好きだけど愛情ではなくそれは友情だ。
…
幸はどうだろう…
全力で友達として接してくれる幸に対してそれを幸に聞くのは失礼だと思った。
それを聞いてどうするのか…
「幸…」
「…ん」
ぎゅっと抱き締めるのを…キスしてるのを周りの生徒たちはどう見るか…そんなことは全然気にならなかった。
僕は幸がしてくれたように幸のおでこにキスをして、ぎゅっと抱きしめた。
幸も素敵な恋ができますように。
そんなお節介な思いを僕は願ってしまったのだ。
…
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季節は流れて…
桜が美しく咲く頃…
僕たちが2年生へと上がり、
成谷先輩たちは当然3年生になった。
甘い香りが漂う…
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