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第94話 新学期
都内の片隅にある私立蒼央高校。
ひそかな名門校で金持ちのお坊っちゃんが通う学校である。
学費がすごーーーく高いっ!
主に政界や財閥の子が通う学校みたいなんだけど、何故か全寮制で自宅からの通学が許されていない。
…すごーーーーー!!
俺的には…憧れの学校だ…
学校まで徒歩1分だから全然通いもできるんだけどさ!
こんな学校がうちの隣にあって、小さい頃から絶対行きたいって思ってたし!
勿論無理って言われ駄々こねたけど、さすがに現実的に許しては貰えず…仕方ないと思い諦めかけてたその時、おじいちゃんが何とかしてくれた。
父さんの実家の蔵に眠っていた骨董品を売ったお金でこの学校に通えることが叶ったんだ!
寮の見晴らしがいいとか広いとか豪華だとかセキュリティがとかどうでもいい!!
…
って言うかそんなこと聞かれなかったけどね!
入れるだけで満足ー!
ウキウキしながら入学式をまった!
「鈴 これ…」
「なに?」
「何じゃないわよ!ネクタイしろ!なんで忘れるの!」
ビシッとネクタイで叩かれ母さんに荒っぽくネクタイを絞められた。
「いった」
「いい?御贔屓にしていただいてる顧客さんもいらっしゃるんだから、失礼のないようにするのよ?」
「わかってるよ…地味に控えめなお坊ちゃまを目指します!ふふふ」
「…くれぐれも!ミーハーな行動は慎むように…」
「…」
「…」
「行ってきますっ!!」
「あ!こら!返事しろ!鈴ーーーー!!」
家を飛び出し元気よく学校へ向かった!
ってもう着いた!!
だからうちの隣なんだってばー
敷地は大きくどどんと存在感ある男子校…
…
はー!
ワクワクするー!
嬉しい!学び舎ー!
地味に…控えめに…よし!
佳川鈴 15歳。
今日から私立蒼央高校1年!
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