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第96話
あ!
「ちょっと…ごめん!」
「え」
クラスメイトと話の途中なんだけど、今チラッと窓の外に見えたあの人!
…
ほわほわな癖っ毛が特徴の三階先輩!な、はず!!
「こら、君…!もう授業始まるぞ。どこに行くんだ?」
「わ!…すみません」
教室に入ってきた先生と鉢合わせしてしまい、クラスメイトにクスクス笑われてしまった。
…
あぁ…
地味に…地味に…いくハズだったのに…
去年の新一年生の中で飛び抜けて有名人だったのが三階先輩だった。
眼鏡をかけて控え目な容姿で有りながらも素顔は美人だと噂が流れていた。成績優秀でしかもあの三階グループの御曹司だというからもう!!
見たい!
拝みたい!
ワクワクが止まらない!
あー早く休み時間にならないかなぁ…
中庭に行けば会えるかな…
授業が終わって中庭に行ってみてもいるわけなくて、がっかりしたんだけどそれでも他の生徒をそっと観察して過ごすのはとても楽しかった。
はぁー…しかし優雅ですなー!一人あっち行ったりこっち行ったりしてベンチに座りホーっと一息つく。
「あれ…君って新一年生かな?何か困ったことない?」
「え、あーはい!今のところ大丈夫です!」
「ね、ここの学校の図書室行った?凄くおススメだよーおいで!案内してあげるよ」
「ええ!いいんですか!?有難うございますー!」
通りすがりの先輩が図書室を案内してくれるって!なんて優しい先輩なんだろう。後輩に優しい先輩ってポイント高いなー!
…
って思ってたんだけど…
「ねぇ…君名前なんて言うの?何組?俺君みたいな子タイプなんだけど…君…俺のことどう思う?」
「?」
「手…小さいね。髪型可愛いし飼ってたハムちゃんみたい」
「は、ハム?あのうちはパン屋ですけど…わ!」
「…あはは君天然?ワザと?ね、こんなことしてみない?」
……!!!
大きな図書室は二階があるくらい広いびっしりと様々な本が沢山ってこれは本当におススメかも!そう思ってワクワクしていたら本棚と本棚の間で何やら先輩に股間を御触りされている!!
え!何!!!
「ちょっ!あのこれって!!」
「俺ちょっと今フリーだし、君とってもタイプなんだよね。あ、声出しちゃ駄目大変だよー」
「え……駄目なの!?でも!!」
後ろから先輩のモノが押し付けられて自分のモノをスラックスの上からもみもみされてる。
ど!
どうしよう!俺ってこれって襲われてるんじゃ!!男!俺男!!
声出しちゃ駄目だって言われたけど、これって出した方がいいんじゃ!!?
何だろうでも声が…でない…
スリスリと撫でられてスッとベルトに手をかけられる…
「ふ、可愛いね…君…じっとしててね…気持ちよくしてあげるから…」
「…!っ!」
なんだこいつ!い、嫌だ!!どうしたらいいのかわからない混乱した状態でスルっとベルトが外され脱がされてしまった。下半身が外気にさらされて鳥肌が立つ。
直ぐに俺の股間に手が伸びてきて陰茎を握られる。
「…はは…可愛いサイズ…」
「……い、嫌…あの……俺っ……」
くちゅり…
隅っこの壁に追いやられて先輩に後ろから股間をシコられてるんだけど!!!
「や、やっぱりこんなの嫌です!あの…!やめ、…ヤメテください!」
くちゅり…くちゅ…
「!じっとしてろって!黙れよ?ほらいい感じに勃ってきたじゃん……感じてんだろ…イカしてやるから」
「や…だ!だからいいって!!!……っ!」
「一年は黙ってろって!」
「……っ!!」
口の中にハンカチを突っ込まれて声を出すことができなかった!暴れても身体が思うように動かなくて足元がガタつく……!
くちゅ…くちゅ…
握られて…上下に無理矢理動かされて…痛くて…
これ以上…触んな!!い、嫌だ!!!
バサバサッ!!!
「わっ!!!っ……!痛っ!!!」
「!!!」
急にいくつもの本が足元に転がる。
それに驚いたのか先輩の手が俺の股間から離れた。
……な、何が…起こったの…
動けないまま壁と本棚の間を涙目になって見つめていた。背後が怖くて動けなかった…
「…こんなところで早速できたての後輩とイチャイチャ…?にしてはちょっと違うよね?合意じゃないだろ」
「…お前」
「早く教室帰んなよ…」
「ち、この淫乱野郎」
「…」
…
…
何?
もう終わった?
どうなった?
「…ね」
ビク!!!
「落ち着いて…あいつもういないから」
…?
さっきの先輩とは違う声質…
だ、誰…
「ほら、こっち向いて…大丈夫だから…な?」
済んだ声は優しい感じがしたから恐る恐る振り替えった。
「…ったくこんなことしやがって…」
その人は口に押し込まれていた唾液と鼻水と涙でぐちょぐちょになったハンカチを取ってくれた。
「…」
さっきの先輩は…いない…
「…下着穿ける…?」
「…」
「…はぁ……」
立ってるだけが精一杯で泣くだけしかできない俺を見つめてその人は溜息を吐く。
ゆっくりとした動作で下着を穿かせてくれてスラックスもきちんと履かせてくれた。
「…ぐす」
「…ここってさ…ああいう奴がいるから気を付けなよ」
「…ぐす」
「…君みたいな一年生は特に一人にならないように……って!」
もう良く分からないけど、思わず目の前のその人に抱き着いてしまった。
わあああん!!!!
怖かった!!!
「うぁああ…あいつめ…あいつ…ぐす…ぐす…」
「…」
その人はきゅっと優しく抱きしめてくれトントンしてくれてそっと頭を撫でてくれた。
控えめに…でも優しい…この人…優しいぃぃ…
「…あの……ごめんなさい。ぐす…有難う…ございました」
「もう泣かない。はぁ…目が腫れてる…」
綺麗なハンカチを出して涙を拭ってくれる。
「おいで…」
その人とは一年の教室があるところまで手を繋いで一緒に来てくれてそこで別れた。
手…あったかかった…ハンカチ…貸してくれた…優しい…
あ…
あの御方のお名前聞くの忘れた…
誰だろう…
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