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第98話

それからはもう気になって気になって… そ… 時間の許す限り俺は、コッソリと追っかけをしている。 …そりゃ当然…横溝先輩の。 中庭に… ランチルーム… 図書室… トイレ… 下校時間を調べてみたり… はああぁ… 今日も美しいなぁ…カッコいいなぁ… ランチルームで優雅に三階先輩と昼食をとっている二人を少し離れた席から眺める。 今日はクリームシチューを注文しておられたぁ。 隣にいる三階先輩も、ほわーって感じで可愛くて…その隣の横溝先輩は儚くも美しいって感じで、またサラサラした黒髪が綺麗だ。 俺ってばさっきからちぎりながら食べてるパンをコロコロと落としてばかりいる。 …しかしこのパン…いまいちだな… ふ…うちのパンの方が美味しい…ドヤァ… … 二人いつも一緒にいて仲がいいんだなぁ… はぁ…いいなぁ… ぼーっとしながら見つめていると、そこに近づく一人の生徒… って…あ、あの人は…! あわわ…あの人知ってる! 三年の成谷太我先輩だ! わぁー…… 甘い雰囲気で優雅に横溝先輩と三階先輩の元へ行き何か話をしている。 しばらくすると三階先輩が席を立って成谷先輩と二人ランチルームを後にした。 凄いカッコいい……!本当モデルみたい! 何てクオリティーの高い人達なんだ… まぁ俺のオススメは横溝先輩だけどね。 横溝先輩は一人で紅茶を飲んでいるけど… … あ、ため息ついた… … 何か…一人席を立つ先輩が寂しそうに見えてぎゅって抱きしめたくなる。 なんだか切なげ…… 「ねぇ…」 「はい?…え!」 今さっき見ていた横溝先輩が俺の隣に!! 「え!あ、横溝先輩っ!偶然ですね!ランチですか?」 「……偶然って…あのねパンをさっきからポロポロこぼしながらこっちずっと見てただろ…」 「!!」 「……気づかれてないとか思ってたの?」 「…あわわ…す、すみません…横溝先輩のこと気になって」 「あっちこっちさ…ストーカーみたいなことするの止めて欲しいんだよね」 トレイに…テーブルに転がったパンくずを集めながらため息をつかれてしまった。 あああ…そんな顔しないでー! 「ご、ごめんなさい!あのでも俺!横溝先輩のこともっと知りたくて……」 「……凄い迷惑だから…やめて」 !!! 「……」 眉間にシワを寄せながらそんなことを言われたら何も言い返せない… 本当に嫌がられてしまった… 「すみません……」

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