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第101話

横溝先輩にもしもそんな事があったとしてもそれはそれ! 俺はやっぱり横溝先輩のことが気になる! 嫌われてしまったかもしれないけど…それでも諦めない! 「横溝先輩!おはようございますっ!!」 「…おはよう…」 はぁあああああ!!!!挨拶してくれたぁあ!! 朝、挨拶運動で校舎の前に立っていた横溝先輩に全力の挨拶をした。 素敵な笑顔で…とはいかなかったけれど、挨拶を返してくれたことが本当嬉しくて幸せだーって思った。 黒髪はさらりとしたいて整った美麗な顔は儚げだ。 すらりとした細めの体形に、清潔感ある皺ひとつない制服が良く似合っている。 「はは」 隣にいる三階先輩に笑われてしまったけど、それも嬉しかったり。 だって笑った三階先輩はとっても可愛い! その笑顔に癒されるし、その隣の横溝先輩が迷惑そうにしながらもちゃんと挨拶をしてくれたことが大きな収穫だ。 やっぱり優しい先輩だぁ… 「…突っ立ってないで早く校舎に入りなさい…」 「…はーい」 …もうちょっと横溝先輩を拝見していたかったなぁと未練を残しつつも言われた通り一年生の下駄箱へ… 挨拶してくれただけで幸せだなぁ…今日一日楽しく過ごせそうだー! そう思ったんだけど… 「…佳川…お前さぁ…先輩に何かしたの?」 「え?」 教室に入った早々クラスメイトからそんなことを言われた。 「…このクラスなんか上級生から目つけられてるから気をつけろって言われたんだけど…」 「何だよそれ…」 「佳川鈴のクラスってここだろ?って二年の先輩に聞かれたんだよ。お前何したの」 「はぁ?何したって…別に…何も」 「本当に?上級生とトラブルとかやめてくれよ?」 「だからー何もないってー!」 上級生…二年とトラブル…って言ったら…まぁ思い出すのは図書室事件だけど… ちょっとあれから図書室は気持ち悪いし怖いしで一人では行けなくなっていた。 ってあれでなんで俺が目をつけられる理由が思いつかない。 誰にもチクったりしてないし! それか横溝先輩…? …いやいやいやいや先輩に限ってーそんなこと言う訳絶対ないから消去! 気をつけろって… どういうことなんだろう… そして放課後、自分の下駄箱を眺めて頭が真っ白になった。 … 俺の下駄箱には当然俺の靴が入っている訳なんだけど、その靴の中には誰が作った作品か大きな泥団子が詰め込まれていた。 …マジか…これどうしよう…何て見事なまん丸な団子…つか俺の靴これ1足しかないんだけどーーー!! これを気をつけろってこと!? ずっしり重い泥団子を花壇に転がして寮まではそのまま上履きで帰るしかなかった。 片手には汚れた外履きの靴… ??? 俺、何かしたかなぁ? トボトボ足取りは当然重く…自分の部屋へ。 何かの間違えじゃぁないかな?うんうん! って思ったんだけど… 自分の部屋に帰ってみると、ベランダが…窓ガラスが泥まみれになっていて物凄い有様になっていた。 !!! な、 なんなんだよ!これ!! 1階の隅にある俺の部屋には庭がついていて開放感ある部屋だ。 二人部屋なんだけど、入居希望者がいないみたいで俺が一人で使っている。 綺麗に整備された庭でちょっと気に入ってたんだけど、そこにひっそりと咲いている可愛いお花までが泥にまみれてしまっていた。 …誰かが庭に侵入してやったんだ…柵越えてまで? … … あったまくるーー!!!! おらーーー!!!! どこのドイツ人だ!! こらーーー!!! 名乗れぃ!俺の靴磨けやこらぁ!!!!! くっそう!絶対犯人見つけてやるからなっ!! 泣きながら靴をゴシゴシと洗い、窓ガラスとベランダの掃除をしたのだった。 翌日下駄箱には中庭の池の金魚がピチピチ置いてあり、次の日は俺の体操着がトイレの便座に突っ込んであった… … 流石にこれは洗濯しても着たくない… 「…佳川…災難すぎる…」 「これ恨まれてんじゃね?コワ…」 「…お前マジで何したんだよー」 「…」 わ、わかんない… 体操服は新しいの買ってもらわないと駄目だなぁ…母さんに絶対怒られる。 つか洗って使えー! って言われるかもー!あああ…マジ白目。 クラスメイトからも心配されつつも、皆から少しづつ距離をとられているような気がする。 そりゃそうだ。 得体のしれない嫌がらせされてるんだもの、もしかしたら自分も巻き込まれるかもしれないって思うよな。 はぁ……

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