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第105話

この庭を気に入っている人がいるなんて…しかも三階先輩がここの部屋を使っていたなんて知らなかった。 こんな有り様のベランダに三階先輩がショックを受けていることは明らかで、申し訳なくなってくる。 「何か…ちゃんと君に事情を聞く必要があるみたいだね」 「…三階先輩ごめんなさい…もっと俺がしっかりしてたら、こんなことにならなかったのに…」 「佳川が悪い訳じゃないだろ?」 トン…と横溝先輩に背中を撫でられてるとポロっと転がる何か… … あ、 ポロポロ涙が…止まらない… 「…あの…ごめ、ごめんなさい…俺疲れたみたいで…すみません。もう休みたいです…話…また明日でいいですか…」 「…わかった。無理矢理お邪魔してごめん」 「全然大丈夫です!三階先輩が使っていた部屋だってわかっただけでも嬉しいんで…へへ…横溝先輩も来て下さって有り難うございました。あ、パン食べて下さいね~」 「佳川…」 「じゃぁ、おやすみなさい~」 バタン … … ポロポロ泣き出したら止まらないのは、小さい頃からだ… 先輩達に悪いことしちゃったなぁ… せっかく心配して来てくれたのに…横溝先輩があんなことするから… 今の俺にトントンするの… 駄目だよ…… そのままパジャマに着替えて明かりを消しベッドへと潜りこんだ… … 「ひっく…」 ベッドに入ってからも涙が止まらず、なかなか眠れずにいた。 散々泣いたら傷口がズキズキと痛み始める…… 喉乾いたし…痛いし…痛み止め飲もう… 暗闇の中小さな冷蔵庫から麦茶をとりだし、コクコクと飲んだ。 …時計を見たら夜中の2時前。 … 痛み止めどこにしまったっけ… ズキズキと痛むのを我慢しながらカバンの中をあさる。 あーあったあった……これだ。 さっきの麦茶で薬を流し込んだ。 はぁ…ダルい… 横になってまた寝よう。 … … コンコン … … コンコン 「………かわ…」 ? 誰か呼んでる?幻聴? 頭打って変な声が聞こえ始めた… 「…佳川……寝てるか?」 ! 幻聴じゃない! 誰かいる!! 「だ、誰ですか…!」 「……横溝だよ」 !! 扉の向こうにいる人物に驚いて慌てて扉を開けると、紛れもなく横溝先輩が暗闇に紛れて立っていた。

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