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第107話
「夢でもいいす」
「…薬効いてきたか?まだ痛い?」
「今はそんなに痛くないんで…効いてきたんだと思います」
「そか…」
ほんのりと伝わってくる隣からの体温が心地よい。
「へへ…」
「佳川…今日は有難うな…千歳を助けてくれて…」
「本当危機一髪でした…よかったです。三階先輩にあんなことする奴がいるなんて許せないです。最低…」
「でも…佳川も無茶したな…」
スゥッと先輩の手が伸びてきて処置してある頭部を避けて優しく撫でた。
「…あー寝れなくなるんで、御触りは駄目です。頭洗えてないし…それに横溝先輩には三階先輩がいるからいけませんよ…」
「なんだそれ。俺千歳と付き合ってないし。千歳にはちゃんと彼氏いるって一年生でも知ってるだろ?」
「三年の成谷先輩ですよね?知ってますよ。…でも二人とってもお似合いだと思います。恋人同士とかそんなのじゃなくて、お互いに信頼し合ってるっていうか、三階先輩も横溝先輩のこと優しく見たりしてるし…勿論そういう時の横溝先輩もとってもいい表情するんです。そんな二人を見てるの凄く好きで…あぁいいなぁーって思ってます。あれです見てるとキュンキュンするんです」
「…キュ、キュンキュン…」
「あ、勿論横溝先輩Loveは変わらないですよ俺!でも…そんな二人の信頼関係っていうのか、誰にも入り込めない二人の世界っていうのかな?そんなのが漂っていて…好きなんです。へへへ…」
「…」
「三階先輩が傷ついたら…横溝先輩…悲しむだろうなぁって…」
「…そか」
そう、三階先輩が危険な目に合うのも嫌だけど何よりもそれで悲しむだろう横溝先輩の顔は見たくないと思った。
ここに先輩が来てくれて、添い寝までしてくれるのはきっと三階先輩のことをかばってくれた横溝先輩なりのお礼なんだろうと思う。
ご褒美でも何でもいい…
「いいんです。俺は見てるだけで幸せなんで…おやすみなさい」
「……おやすみ」
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