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第117話

「傷……まだ痛むか?」 「ん…えーと少し…」 ドライヤーも横溝先輩がしてくれて嬉しいんだけど、こんなに至れり尽くせり幸せで良いのかと若干心配になってくる。 「先輩にこんなことまでしてもらって…ちょっと恐縮してきたんで…あの自分でやりますよー」 「何?嫌なの」 「イヤ!全然全くっ!」 「あの人達に会うならちゃんとしておいた方が良いから…じっとしてて」 「あの人達…ですか」 「最上階に住む人達のこと。風呂に入ってないなんてとんでもない。綺麗にしておいて損はないよ」 「……あの…こんな普段着で…大丈夫…ですか…制服クリーニングに出していて…」 「うん、ギリ大丈夫」 …ギリ…ですか…今の俺はボーダーシャツにベージュのチノパン姿だ。 最上階に住んでいるメンバーは有名だけど、そこに行ったことがある人は住人以外だと、生徒会とかほんの一部の人に限られているらしい。 横溝先輩もその限られた一人なんだろうなぁ。 「髪の毛サラサラだな。この栗色は生まれつき?」 「はい、そうです。染めてるとか聞かれたりするんですけど、生まれつき栗毛で…変ですかね」 「…変じゃないけど、目立つよね。隠れたつもりでもこの髪の毛は目を引く…こっそり見てたつもりなんだろうけど、全然だから」 「…?え、え?」 「…ストーカー向きじゃないって言ってるの!その髪も顔も!」 「ストーカーに顔とか関係ないしー!つか追っかけだしー!」 「はいはい!ほらおしまい」 横溝先輩にかけてもらった髪はサラサラに仕上がっていてとても綺麗だった。 「あ、ありがとうございます…いつもよりサラサラ…ドライヤーって凄い…普段かけないから…つか先輩の腕が凄いのか…」 「…何言ってんだよ…その辺に座って待ってて。俺もシャワー浴びてくるから」 「え!俺っ髪洗っ」 「洗わなくていいから!座ってろ」 「…はい」 あああ…横溝先輩のシャワータイム… 見たいー! しばらくすると、風呂場からシャワーの音が聞こえて来て想像力が掻き立てられる… わー! こんなにこんなに近くにいるのに、関われないなんて残念過ぎる!

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